新しい仮説と新世代へ。

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新しい仮説と新世代へ。

条例が確実になり、既にもう5年以上。 光希(みつき)がこちらに来てから約9年以上になる。 その後、特に問題も何も出ていない。 常に『2つの術』も必ずあった。 だからこそ、『人間の身体』である光希(みつき)の場合。 『時間すら』も遅くしているのもある。 そこも『全て』、問題すらない。 実際に、光希(みつき)は… 連れてきた頃と『外見すらも変わってない』のが事実だ。 そして『消耗の確認の為』にと、『常に確認』もしている。 それも何事もなく、経過してはいるが… けれど、銀楊(ぎんよう)に新たに芽生える事。 『些細な違和感』があった。 それを含めて、思考し、辿りついた答えもあった。 だが、これは仮説であり、確証もない。 もし、そうなら… そんな事が可能だとしたら… 銀楊(ぎんよう)は、すぐに否定する。 いや、それはあり得ないと。 『否定したくなるだけ』だった。 そんな事がもし、この仮説が正しかったら… 私は『光希(みつき)を失う』にも等しい。 だからこそ、あり得ない仮説。 『受け入れたくない仮説』だった… ************************** 銀楊(ぎんよう)は、愛してるからこそでもあるが… 「あっふぁ。 んぁっ。 ふあぁ!!」 今ではもう、光希(みつき)を求めるばかりにと。 『自覚』はしていた。 それでも、どうしても求めてしまう… 愛しているからこそ、もっと『快楽』を。 「今夜は少し… 光希(みつき)… 激しく愛してあげよう。」 「っん。 あっ、そんな、にっ。 あぁっ!!」 銀楊(ぎんよう)は手も、尾も、舌も使う。 光希(みつき)の弱い部分だけを『全て』同時に責めた。 「あっ。 ん、あぁ!? だ、めっ、んぁ。 あっ、あぁ!!」 銀楊(ぎんよう)は… もう光希(みつき)の身体をだ。 知り尽くしているのもある。 だからこそ、『全て』を。 今まで以上にと、『快楽』を。 頭の中で『微かな疑惑』が掠めた。 そんな事を… 考えたくもない。 私が『光希(みつき)を失う』と? そんな事は『絶対』にしたくない。 ただ私はもう… 光希(みつき)を愛したいだけなのだ… 「あっ。 あふ、んっん。」 舌を絡めながら、唇を奪いながら… 反応に合わせてと、中に挿入させる。 「んっ!! っん、んん。」 もう、銀楊(ぎんよう)は動きすら止められない。 光希(みつき)が感じている事も、良く伝わってくる。 そんな光希(みつき)を、私もだ… もっと感じたい。 誰よりも、何よりも… 『疑惑すらも消す』ように。 もう『光希(みつき)を求めて』しまう。 光希(みつき)を感じたい。 このまま愛したいと。 ならば、もう… この『愛している時間だけ』でも… 疑念を消し、『光希(みつき)だけ』を愛そう。 誰よりも、何よりも、大切で愛しい光希(みつき)を… そうやって、その日も… 光希(みつき)の心も、身体も、愛し続けた。 ************************** 常に今でも、我が子は精進していた。 更に『指摘』をすれば、『理解』も早い。 最初の子達は、確実に強くなっている。 銀楊(ぎんよう)は思考もしていた。 既に私の次の長は、我が子だろうが… やはり『青嵐(せいらん)』の統率能力は、誰よりも高い。 次は『青嵐(せいらん)』だろう。 今でも常に光希(みつき)の産み続けている… 子供達は、『全てが天才児』だ。 簡単に数えても、軽く1400人以上。 もう、どの派閥も手も出せぬ。 女児も別の複雑な結界内。 徹底しているし、健やかでもある。 今まで誰にも言っていないが… やはり、次の可能性である『青嵐(せいらん)』には今後の為に。 伝えなければ… また同じように、『滅びの道へ』向かう可能性が大きい。 次の世代にも、伝えなければならない。 そうしなければ、また『妖狐族は愚かな道を繰り返すのみ』だ。 仕事中だった銀楊(ぎんよう)は、側近に指示を出す。 「青嵐(せいらん)を呼べ。」 「はい。」 その指示で側近は走る。 私の『特務部隊』も引き継がせる意味でもだ。 こちら側から動かなければ… 私の場合は、公認で長を選び。 妖狐族の認識や、あり方を変えるしか出来ないだろう… ************************** 光希(みつき)は子供達の中でもだ。 安心して普通に笑うようにもなった。 我が子達も『理解』し、守っている。 それに関しても問題ない。 今のところ、こちら側も問題すらない。 余計な手を出す者は、既に無謀な愚か者しかいないだろう。 それでもだった… 気になる点が『僅か』にある。 それはやはり『光希(みつき)』だが… 身体の消耗も含め、私が管理もしている。 間違えていないにも関わらず… 『光希(みつき)の1つ』が、どうにも気になっていた。 私は少なくとも、人間の身体や構造に関しても、知識はある。 食事、運動、睡眠、医学にも全て、知識としてはある。 身体も問題はないと思っている。 『確認』もしている。 だからこそ。 判らない『不安』が付き纏う。 その為にも、どうするか… 私は仕事の方へ行っている間にだった。 既に側近に指示も出していた。 ************************** 銀楊(ぎんよう)は時間を計算しながらもだ。 常に転移し、行動する。 そしてまた、仕事へと転移した。 銀楊(ぎんよう)が書類に目を通している時だ。 側近が素早く銀楊(ぎんよう)のと言った。 「連れて来ました。」 青嵐(せいらん)は礼を取りながらだった。 「参上致しました。 当主であり、偉大なる父上。」 銀楊(ぎんよう)は、それを『確認』すると。 すぐに側近に『視線』を送った。 そして端的に言う。 「…着いて来い。」 側近にも『視線』で合図する。 青嵐(せいらん)は目を伏せて言う。 「はい。」 私は個別に用意した会議部屋の1つに入る。 端的に側近へと言った。 「15分だ。」 それに対して、側近は『理解した』様子で離れる。 銀楊(ぎんよう)は冷静に判断し、『青嵐(せいらん)のみ』を呼んだ。 これからの事と、また光希(みつき)に関してだ。 この場では『用心の為に』と行動する必要がある。 銀楊(ぎんよう)は思考しながらだった。 ここから先は… 『誰にも』聞かれる訳にはいけないな。 今は少なくとも仕事の時間。 青嵐(せいらん)の態度も違う事を理解していた。 私は、すぐに『部屋の遮断』をした。 青嵐(せいらん)も、いつもと違う事に察した様子だが… 『内容を』何も言わずにと、青嵐(せいらん)に言った。 「青嵐(せいらん)。 奥へ行け。」 「はい。」 青嵐(せいらん)が部屋の奥に入るのを確認する。 私は高位な結界と遮断を。 それぞれ複雑な応用術を一気に部屋を厳重にする。 そして更に、空間移動の中間地点へ移動させた。 この場合、もう外部からの接触も含め。 音だけでなく、認識すら不可能。 完全な遮断を。 これならば『誰も認識すら出来ない空間結界』だが。 銀楊(ぎんよう)は『それを』複雑に構造して出す。 既にいつもと違う事にだった。 青嵐(せいらん)は『確信』はするが… 外部との完全な遮断。 しかも空間転移の応用の? 更に高位結界術か!? 何事だ!? 父上が、これ程の事をしてまで… 「ち、父上?」 銀楊(ぎんよう)は冷静にと判断する。 流石の私でも『これの継続』は不可能だ。 せめて15分程度なら、問題でもないが… 青嵐(せいらん)も若干、慌てるが… そこまでする『理由』が浮かばなかった。 まさか、また『母上』にか? 私は端的にだが、明確に『青嵐(せいらん)に向かって』言う。 「青嵐(せいらん)。 私もこの空間だと、『15分程度』しかない。 だからこそ、今から『真実』を告げる。 それを忘れるな。 この話は外部も含め、絶対に話せない。」 青嵐(せいらん)は焦るが、1度、『全て』を整える。 すぐに父上の目を見てだ。 どれだけの『重要性が高いかを理解』する。 「覚える事は多いが… 私は青嵐(せいらん)。 お前を選んだ。 私は『お前を時期にと、妖狐の長』を譲る。 そしてお前が長になり、『今後の妖狐族の存命をも』託す。」 「!?」 青嵐(せいらん)は必死に思考を巡らす。 時期の長を? 今後の狐族族の存命!? 「今から話す事は、私は今まで誰にも話してない。 私の答え、考えは、今の妖狐族のあり方を変える為だ。 力だけで、長を狙う愚かな考えも、『全てを』覆し。 『新たな世代へと変える』ぐらいしか出来ん。 その為に、私が暫く『後見』として力を貸すが。 あくまで、長として導く者。 私は『青嵐(せいらん)を』選んだ。 だから今から話す事は、『私の中の結論』でもあり。 『真実』も含まれる。 良いな? これから先、私が基盤を作ってもだ。 今後の妖狐族を背負っていくのは新世代。 つまり、『青嵐(せいらん)の世代』だ。 だからこその話だ。」 銀楊(ぎんよう)は頭の中で纏める。 青嵐(せいらん)に『全て』話す事を優先する。 「今の妖狐族の『認識』は、大きく間違っている。 今までの妖狐の常識は、一切捨てろ。 今から言う事は、私が考え出した『結論』でもある。 そうしなければ、今。 産まれている『女児』が居ながらも、また同じ道。 妖狐族は『滅ぶ運命へ』と流れるだろう。 だからこそ、重要であり、知らねばならない。 そして『青嵐(せいらん)』をだ。 私は『お前を』選んだ。 意味は、理解したか?」 「はい!!」 青嵐(せいらん)は『明らかに』違うもの。 どれだけ重要かも、認識した。 父上の言葉を一言も漏らさないようにと。 『覚える』ように、聞こうと意識する。 「今の妖狐族は『自業自得の結末』だ。 滅びるのが当たり前な道を、常識にしている。 それは『姫』でも、新たな『女児』でも同じだと。 『私だけ』が知っている。 今の妖狐族のあり方は、『認識は真逆』だ。 間違っている。 強い長から、『強い子』が産まれているのではない。 『姫が強い子を産むかを決定している』と言う事。 歴代を含め、歴史でも同じ事だった。 『子が弱い』と、その認識が『既に間違えている』のだ。 今の光希(みつき)、姫が『強い子を産む』のは、それだけの事だ。」 「!?」 「余り時間がないが、再度、言おう。 『強い長の子が、強い』のではない。 姫が選び、『姫が強い子を』産んでいるだけだ。 歴代の長も、更に遡った歴史の女児も同じになる。 『繁殖の為に使えば、子が弱いだけ』の事。 つまり。 産む側の『姫や女児からの同意』がなければ。 全て『弱い子になるだけ』だ。 そして『姫が選び、同意した者の子を望むから』こそ。 『強い子が産まれている』のだ。」 青嵐(せいらん)は、その『真実』に、何も言えない。 それでも銀楊(ぎんよう)は時間もないからこそ、続けた。 「今から私が、いくら基盤の組織を作ろうとだ。 今後の世代、次の長。 つまり、『青嵐(せいらん)達』が。 それを踏まえなければ、同じ事を繰り返す。 その結果。 今と同じように、『妖狐族は滅ぶ方へ』向かうだけだ。」 「!?」 衝撃的な事で言葉が浮かばないが。 それでも青嵐(せいらん)は必死に言葉を覚える。 その姿を見て、銀楊(ぎんよう)は続ける。 「私は光希(みつき)からの『同意の時』にだ。 その前の時、更に歴代を含めた『結論』にもなった。 『姫を愛して、姫から愛されなければ、同意はない』と。 そして、今までの姫も、光希(みつき)も身体も同じ。 ただの『反応』で子が産まれる場合、気絶をする。 それは子に対して、『身体の反応のみ』の行為。 ゆえに『負担を受け産まれるから子が弱いだけ』の事。」 「それは…」 青嵐(せいらん)も『逆転』させる。 自分達。 つまり、今の『母上の子が強い理由』にも繋がるのか!? 「少しは判ったかもしれんが… 『同意した相手を』だ。 姫が選び、『姫を愛さなければいけない』のにも関わらず。 今までの歴史、歴代においても、『妖狐族は真逆を』した。 結果、今の妖狐族は女児も居なかった。 姫すらも数百年。 待たなければ産まれないまでの現状を作った『原因』だ。」 青嵐(せいらん)は、その真実が、衝撃が強い。 それでも、どうにか『全て理解』する。 銀楊(ぎんよう)は一切、視線を外さずに続ける。 「だから、強い事は当たり前だが。 『姫を愛さなければ』、何も意味がない。 そして、『姫から愛されなければ』同じ事。 姫が『愛した子は全て強い子』を産む。 だが、その場合、姫は『自らの身体』を。 『様々な代償』を背負って子を産む。 同意した相手の『愛した子の為に』と。 負担をかけずに産もうとする。 『子への負担をないように産む為』にと。 代わりのように『全ての負担を姫が』受ける。 産む側の方が、『負担を背負う』からこそ、子が強いだけだ。 そして『愛されなければ』同意などもない。 愛して合ってこそ、『成立する』のだ。 姫が身体も含め、代償のように身体も消耗させるが。 『高位治癒術が効果は』ある。 だからこそ、成り立つ。 『産む姫を道具』に使い、『繁殖のみ』を考えれば… 姫からの『同意もない』、拒絶したままなら。 身体の反応でのみ産まれるだけ。 その分、姫は『負担すらせずに子が産まれる』から。 『子が弱いだけ』だ。 それをずっと続けた結果。 女児も含め、産まれなくなっただけの事。」 青嵐(せいらん)は、再び衝撃を受ける。 それは歴史ですら『覆る真実』でもあるからだった。 「判ったな? 今の光希(みつき)が、なぜ『強い子を産むか』の謎は簡単だ。 『私が愛し、私を選んだ結果なだけ』だ。 『私が強いから、子が強い』訳ではない。 『同意を得ている』からこそ、『光希(みつき)』が産むのだ。 『強い子』を。 そして、『全ての代償は光希(みつき)が』背負っている。 私が出来る事は、その消耗や負担を助ける事だけ。 それすらも、光希(みつき)が『私を信じているから』こそだ。 これはもう、本能にも近い。 自らを削り、それでも『同意した相手の為に強い子を』産んでいる。 だから『今の妖狐族の認識は真逆』だ。」 青嵐(せいらん)は衝撃的過ぎて声は出せない。 だが、今までの話は『全てを理解』した。 「私がこの事実を何も出してないのも、『そこ』だ。 もし『今の議会』に出せば、『検証』と言う名目で。 必ず『光希(みつき)を使おう』とするだろう。 『今の妖狐族の認識は間違えている』のだ。 だから、言わなかった。 そうなれば、もう『滅びるだけ』だ。 だから青嵐(せいらん)。 お前がこれからの妖狐族を長となる為に。 そして導かねば… 今後、いくら何百年後かには、また同じ道になる。」 青嵐(せいらん)は、すぐに理解した。 確かに、こんな、今の事実なら… もし今、出せば… また『母上が使われかねない』と判る!! 「私は『それを避ける』しか出来なかった。 だが、この『真実』を知らねば… どんなに今、新しく産まれた命からでも、『同じ』だ。 妖狐族はまた繰り返し、結果は『滅びへ』向かうだろう。 私が出来るのは、今の妖狐族を抑える事。 そして、基盤を作るしか出来ない。 だから、次になる長は、青嵐(せいらん)。 お前がなるんだ。 こちらで抑えられる力も、知恵も貸す。 そして私は長の座を降り、『青嵐(せいらん)を長に』考えている。 その為にも、『真実』を言った。 『認識は簡単には変わらない』。 その為に力が足りないならば、貸すだけであり。 次を、世代を動かす者。 『青嵐(せいらん)』が、新世代が、理解していかねば。 同じ道になるだろう。 『誤ちを繰り返す』な。 そして強く、また新しい妖狐族の中での長をしなければ意味もない。 姫や女児を『繁殖などに使えば』、妖狐族は滅びるのが、当たり前だ。 『本来の形』が違う。 根本的に間違ってる。 新しく産まれた、『強い子』がだ。 新たな『姫を守る』のが正しい。 またその『姫から』同意なくして産ませても、結果は変わらん。」 青嵐(せいらん)は、僅かに言った。 「なぜ、それを…」 それが真実!! あの父上の見つけた答え、そして結論!! 「さっきも言った。 今の妖狐族は、『認識が間違えている』と。 だからこそ今は、『力』でしか抑えられない。 だから、青嵐(せいらん)。 お前が長になって、これからも踏まえて進まなければならない。 そして、そこで変えていかねば、何も意味もない。 結局は『滅びるだけ』になる。 今の妖狐族で、1番長になれる可能性は、青嵐(せいらん)。 『お前だと判断した』から話した。」 青嵐(せいらん)は、『その言葉』もだった。 また今までと『違うもの』すらも感じる。 あの父上が、未来を、将来を考え… 『自分を選んだ事』に。 「新しく産まれた世代からしか、この認識は根付かないだろう。 だが、光希(みつき)も、私も、これから先に繋げても… 青嵐(せいらん)、お前がやらねばいけないと判断した。 少なくとも、皆を纏めた。 実力も、知識も、まだ若いだけで、私に敵わないだけだが。 続けていけば、お前ならば『可能な筈』だ。」 青嵐(せいらん)は事の大きさもある。 けれど、あの父上が、選んでくれた事に。 託している事に。 それ程に『重要な事を自分にと』している事に。 理解し、『心に刻んで』返事をした。 「はい!! 必ず!!」 青嵐(せいらん)は誓うように言う。 絶対に、成し遂げる決意を決めるように刻んだ。 銀楊(ぎんよう)はそれに対し、『理解をした事』も判った。 そして、考えたくもない事だが、どうにか続ける。 「それと、もう1つ。 青嵐(せいらん)に… 『頼み』が、ある。」 !? 父上の口調も変わった。 そして、あの父上が『頼み』と言った。 それに… 続きを言い難い様子でもある。 なぜ… 何を、これは… 母上の時の!? 「良く聞け、青嵐(せいらん)。 お前を今から『特務』の直下に異動する。 その後に勿論、長にする予定では私は動く。 だが、その『最初の特務』として… して欲しい事。 それは『光希(みつき)』に関してになる。」 青嵐(せいらん)は、やはりと思う。 だが、そんな事はあり得ないが… 「母上に何か関わる件で… 父上!? 何を隠しているのですか!? まさか、さっきの話では…」 銀楊(ぎんよう)は少し首を振る。 「私の仮説にも、まだ『確証』がない。 その為に、お前を『特務』へ異動させ… して欲しい事がある。 これからの業務を含め、『全てを放棄』しても構わん。 今から常に、『光希(みつき)を観察』しろ。」 「えっ?」 「外部や、一族からの危害は『私が居れば』問題もない。 だが、私が気になっている部分が『1つ』ある。 今の私では、常に光希(みつき)の側に居る事が不可能だ。 だから、青嵐(せいらん)に頼みたい。 いや、お前しか出来ないと、判断もした。」 青嵐(せいらん)は焦る。 明らかに、その父上の発言がだ。 危機感にも近い気がするのだ。 銀楊(ぎんよう)は考えたくないからこそ。 言いたくもない事でもあった。 「私も、『今は疑念』だ。 それに『確証』もない。 まして、あり得ない事だが… 気になっている点がある。 『そこ』を見て欲しい。 勿論、私が居る時は、休んで居ようと問題はないが… 『光希(みつき)の全部を記録』して、私に渡せ。」 「父上!? な、何を、隠しているのですか!? 『母上の事』でしょう? その指示は!!」 こんな強引な異動をし、最初にさせる父上だ。 必ず『母上の件』が、余程でないと出されない事は判るのだ。 それは青嵐(せいらん)だからこその発言でもあった。 銀楊(ぎんよう)は首を僅かに振る。 「…まだ『確証』がない。 だから、調べたいだけだ。」 「父上っ!!」 青嵐(せいらん)の様子を察しながらも。 銀楊(ぎんよう)は迷う… だが、優先する事… それは『光希(みつき)』だ!! 銀楊(ぎんよう)は言う事を選んだ。 「…青嵐(せいらん)、お前に言ったな? 光希(みつき)が『子を産む代償』を。 だが、『私が確認』していても、『身体』に異常はない… それに『事例もない事』だ。 それでも光希(みつき)は、既に『事例にない事』を。 どれだけ『多く』している? 既に『女児』すらも産んだ。 更にその時すら、『お前も居た』のだから。」 「!?」 「そうだ。 『身体』には、問題がない。 私が治療をしているし、『確認』もしている。 それでも少し… 『違和感』に近いからこその『仮説』だ。 それを『確認したいだけ』だ。」 「それは…」 銀楊(ぎんよう)青嵐(せいらん)に強い目で言った。 「良いか、聞け。 光希(みつき)が『全て代償』を受けている。 私がするのは、子を早く避け、高位治療術をし続けていた。 そして、それは効果もあった。 現在でも『身体』には問題はない。 だが、既に光希(みつき)は『代償』を出し、何人産んでいる? 当人は自覚すらない。 これは『本能にも』近いから仕方がない。 だが、光希(みつき)の場合。 更に『代償が大きい部分』がある。 それは『特殊能力や異能の子を』産んでいる。 青嵐(せいらん)もだが、『全員』だ。 どんなに遡り、調べても、そんな記録はない。 つまり、それらの『能力』などまで。 『光希(みつき)』が授けていなければ… あり得ない話にもなる。 既に『代償がある』にも関わらずだ。 簡単に産まれないからこその力すらも。 『自らを削っている仮説』にも等しい。 身体も回復しているし、確認はしている。 それでも… 最近の光希(みつき)は… 良く『寝てる時間が増えた』ような気がする。」 青嵐(せいらん)も、その言葉ですぐに浮かんだ。 そう、最近は良く、何でもないようなところでも… 『母上が寝て』しまったりするのを思い出す。 銀楊(ぎんよう)は、そのまま続けた。 「確かに『身体』は回復し、『確認』もしている。 そして光希(みつき)も普段とは変わってはいない。 それにも関わらず、最近の光希(みつき)は… 『睡眠時間』が以前より『長く』なっている。」 「!?」 「大体の予測は判ったな? …あくまで、こんな事例も、確証すらもない。 だが、既に光希(みつき)は、その事例にすらない事をだ。 いくつもしている。 私は身体の負担や消耗に関しては、歴代を比較し、答えは出せた。 ならば、なぜ。 光希(みつき)は、歴史も含め。 『あり得ない事例を出している』か、判らない。 私の仮説にも、保証はない… 光希(みつき)が、そういう『強い子を産んでいる』のは事実だが。 私はそこで『身体の代償以外』を考えた。」 「ま、まさか…」 「…考えたくはない仮説だ。 だが、私は『そこを』知らねば… 光希(みつき)を守れなくなる。 子を産む際… 光希(みつき)は明らかに『私の子を』望み、そして産む。 その結果に身体の消耗、負担。 場合によれば、『命すらも代償』にし… 『削っている』としたら、どうなる… 『身体』を回復させたところで、意味などない!!」 銀楊(ぎんよう)は考えたくないからこそ。 目を閉じた。 そんな事は、絶対に、させたくない!! 「そんな事は可能性になくとも… 光希(みつき)は今までどれだけ。 他の歴代も含めて違う事をした? 『特殊能力』に『女児』だ。 それでさえ、既に『あり得ない現象』を出している。 これでは、何も、これからが予測は不可能だ。 もし、こんな仮説が正しいならば、光希(みつき)は…」 青嵐(せいらん)は、すぐに思考する。 父上の仮説は、確かにあり得ないだろう。 それでも… 父上の思考も判った青嵐(せいらん)は『理解』した。 銀楊(ぎんよう)は、また目を開けた。 そして、そんな青嵐(せいらん)の様子を見てだった。 銀楊(ぎんよう)は続けた。 「遅くなればなる程、どうにも出来なくなる。 そこで青嵐(せいらん)。 常に光希(みつき)を観察し、『全てを報告』しろ。 それで判る可能性もある。 杞憂で済めば良い。 だが、遅くなれば、変える事も… 何も出来なくなる!! 青嵐(せいらん)ならば、普段通りに近くに居ても… 光希(みつき)は、不審には思わない。 だから『普段の状態を常に注意』し、報告をしろ。」 青嵐(せいらん)は、すぐに『理解』して返事をした。 「はい、必ず!!」 銀楊(ぎんよう)は冷静さをと。 どうにか振り払って言う。 「ならば、今日からで良い。 『特務の直下』にする。 それだけを、仕事としてしろ。 他は何もしなくて良い。」 「はい。」 「今は、『睡眠時間』だ。 起きてる時間。 何をし、またいつ寝ているか。 『常に確認』しろ。」 「はい!」 銀楊(ぎんよう)は少し息を吐き出す。 「では、空間を解除する。 今の話は『他言無用』だ。」 「はい!!」 青嵐(せいらん)も思う事は1つだった。 それは母上の事だけ。 あの母上が!! 俺だって、そんな事は絶対に!! 今の父上だけではない!! 皆が、あの母上から産まれている。 あの母上を、失うのは… 絶対に嫌だ!! 銀楊(ぎんよう)は、青嵐(せいらん)を見る。 『認識も含め理解』したと判断する。 そして銀楊(ぎんよう)は空間の結界を解いた。 ドアのところでだった。 銀楊(ぎんよう)は、通常の仕事時にと戻る。 そして、端的に言う。 「では、行け。」 「はい!!」 青嵐(せいらん)は、すぐに行動する。 思考もしながらだった… あの父上が、『俺に託そう』としている。 これからの未来も、長も、そして母上すらもだ。 絶対に、俺は!!
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