何よりも大切だから。

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何よりも大切だから。

銀楊(ぎんよう)は、速やかな対処をした。 『新たな長を青嵐(せいらん)に』託し… 銀楊(ぎんよう)は常に迅速に動いた。 青嵐(せいらん)は、それも踏まえて、また思考し動く。 だからこその結果でもあるが… 常に『新世代』も含めた、組織体制も『全て』をだった。 銀楊(ぎんよう)も、青嵐(せいらん)の思考すらも読む。 そして『後見』として、銀楊(ぎんよう)は『的確な指摘』もする。 青嵐(せいらん)はすぐに理解し、行動を起こす。 その為、銀楊(ぎんよう)は、すぐに『長の座から降りる事』も出来た。 業務の全てが『青嵐(せいらん)の新世代』へと移った。 そこまでしてからは… 銀楊(ぎんよう)からは、最低限の助言と鎮圧のみに徹した。 他の時間は全て。 『光希(みつき)と一緒に過ごす事』を選んだのだった。 ************************** ある程度、長も含め、青嵐(せいらん)にと。 引き継いでからだった。 銀楊(ぎんよう)は、光希(みつき)に… 少し話す事も決めた。 それは、いつものような日でもあるが… 銀楊(ぎんよう)からしたら。 『初めての日』にもなる。 家に帰宅し、光希(みつき)の様子も見る。 そして落ち着いてから、話しかけた。 「光希(みつき)… 『大切な話』がある。」 大切な話? なんだろうと、私は少し銀を見ると… 少し嬉しそうにも見えた。 だから、素直に聞いた。 「うん、何?」 「私は、『長を青嵐(せいらん)へ』譲り渡す事にしたよ。 だから、もう『長でもない』が。 一応、『後見』としての助言のみだ。」 「あ、前に話していたやつ?」 光希(みつき)が笑う。 だから、銀楊(ぎんよう)は話を続けた。 「あぁ、だから。 光希(みつき)。 もう、私は長でも何でもない。 けれど、今は『1人の男』としてだ… 先に、光希(みつき)に言いたい。」 「うん。」 「私は… これからも『光希(みつき)を』守りたい。 『一緒に居たい』と思っている。 『光希(みつき)を愛していたい』と。 それだけは、何も変わらない。 だから、これからも。 ずっと、側に居てくれないか?」 私はなぜか、銀が緊張もしてるようでもあり… けれど、確認するように、聞いてくる気がした。 「うん!! 私は、『銀の側に』居たいよ。 銀が、どんなでも、ずっと。 『私も銀を愛してる』から!!」 そう言って、私は銀に抱き付いた。 銀楊(ぎんよう)も、それに抱き締め返す。 「そうか。 なら私は、嬉しい。 今までより、側に。 『光希(みつき)の側に』私は居たい。 愛してるよ。」 そして銀楊(ぎんよう)は言葉を選びながら。 光希(みつき)に言った。 「それと… もう1つ。 話が、あるんだが…」 「うん?」 「愛しているから。 私は、やはり、求めてしまうが… 光希(みつき)には、子を。 しばらく、『産まないで』欲しい。」 「えっ?」 銀楊(ぎんよう)は、すぐに思考しながらも言う。 「私は勿論。 光希(みつき)の子は、嬉しい。 そして『大切だ』と思っている。 でも、既に、かなり増えただろう? 今は『女児も居る』から変わったのもある。 だからこそ、新しい世代を増やすのは… 『青嵐(せいらん)達の方を』先にさせないと。 先にと、妖狐の『新しい子達の方』になるだろう? だから、しばらく。 そちらを『優先』させたいのだ。」 「銀?」 「愛してるのは、変わらない。 だが、今だけで良い。 『数を減らして欲しい』と思っている。 『私の為に』と、いつも産んでくれて居た事も嬉しかった。 それすらも、今でも変わらない。」 銀楊(ぎんよう)は、光希(みつき)の顔を見る。 これは若干、困惑している顔か… 「銀は、子を減らしたいの? 銀は、子を望んでたんじゃ…」 銀楊(ぎんよう)は『安心させる為に』と。 どうにか、思考もしながら、優しく言う。 「あぁ、確かに子は嬉しい。 だが、光希(みつき)… 妖狐は『長命』なんだ。 『時間』が、違う。 光希(みつき)は『女児』を、産んだだろう? それに私は、もう『長』ではない。 『今の妖狐族』は、形も変わっていく。 『新しい世代』が、産み、変えていくのだ。 私は『光希(みつき)と側にいる事を』優先したい。」 そう言って、また少し光希(みつき)を抱き寄せる。 銀楊(ぎんよう)は思考よりも『僅かに感情』が溢れ出す。 「私は… 『今でも』こうしてだ。 『光希(みつき)と側に居る方』が嬉しい… 『今を大切に』したい… 子は、既に多い。 その中でも、増やす事も必要にもなるならば。 先に青嵐(せいらん)達の方だ。 光希(みつき)の子供達を。 そして『私の事』を、思ってくれるならば… 私は愛してるから、やはり求めてしまうが… 『私達の子供達』が、成長する事を。 少し、待ってやってくれないか?」 「…うん。」 銀楊(ぎんよう)は、抱き締めながら続けた。 「すまないな。 いつも、私ばかり… 『願って』くれてたのだろう? ならば、『今の私の願い』は…」 銀楊(ぎんよう)が願う事。 それは、もう『本心』だった。 せめて私は長く… 『光希(みつき)と一緒に居たい』だけだ!! 「私は『光希(みつき)を愛して居たいだけ』だ。 長く、ずっと、愛して居たいと。 そして『側にずっと居たいだけ』だ。 光希(みつき)だけを『愛する為の今が』欲しい。」 「うん。 銀が、そう言うなら…」 抱き締めながら、どうしても思う事を振り払う。 それでも、もう思考よりも感情が大きかった。 光希(みつき)の前では… 私はどうしても… 抱き締めながらも、もう、銀楊(ぎんよう)は… 僅かな『本心のみ』が溢れた。 「私はずっと、誰よりも… 『光希(みつき)だけ』を愛して居るんだ。 『今も』そうだ。 『光希(みつき)の側にと居たい』と。 『私は、恐い』んだ… 『光希(みつき)の側に』居られなくなる事が…」 そう言いながら、抱き締める力を少しだけ強めた。 「ぎ、ん? 私は、ずっと… 側に居るよ?」 「あぁ、そうだな。 でも、時々、『私は恐くなる』のだ… やっと『光希(みつき)』に会えた。 光希(みつき)に会うまで、ずっと、『待って居た』が… 今まで『初めて光希(みつき)だけ』を。 心から、『大切に思えて』仕方ないんだ。」 「うん… 判った。 じゃあ、ずっと一緒に居よ!!」 そう言ってから、私はソッと銀の頭を撫でた。 ************************** 銀楊(ぎんよう)は思っていた。 確かに『後見』は、あるが。 私は今、何かに『解放されたような気分』にもなる。 光希(みつき)が側に居る事だけでだ。 私はもう、一族の事よりも、何よりも。 『光希(みつき)を選ぼう』。 もう、私は光希(みつき)だけを守れたら。 それだけで良い。 せめて、私が出来る事を。 ただ、光希(みつき)を抱き締め、時には身体も重ねる。 けれど『子は』もう要らない。 光希(みつき)さえ、居るなら、それで良い。 私は『光希(みつき)の側に居たい』だけ。 そう、願ってしまう。 今ならば、『光希(みつき)だけ』を。 そして、私が光希(みつき)に出来る事を。 一緒に居て、抱き締めてから言う。 「光希(みつき)を愛しているよ。」 今は『身体だけ』ではなく、『言葉でも』伝えよう。 「私はずっと、光希(みつき)の側に居たい。」 抱き締めて、キスをする。 良いんだ。 私には『今の時間』があれば。 光希(みつき)が、どれだけ… 何よりも大切で、大きいかを… それならば、私は選ぶ。 そして『願って』しまうのだから… ************************** 銀が長をやめたらしいけど。 それからは、殆ど、私と銀は一緒に居る。 たまには、居なくなる時もあるけれど。 それでも、なぜか… 銀は『初めて』見せるような。 『優しい目』をする。 それに、気にはなっていた。 明らかに銀が、変わった… それに… 『時間』かぁ… 銀は『恐い』とも言った。 『一緒に居たい』とも。 でも、私は… きっと… 『言わない』のは… ただの『感』だけど。 銀が… 『嫌なの』だろうなぁ。 銀がきっと、出した答え… なら、私は… うん、決めた! 『最後は2人』で、過ごそう!!
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