回遊処女

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3話 ◉自由行動  カジノには薄いサンドイッチがお好きにどうぞ、という感じで置いてあった。具はハム一枚。 ハムは完全に乾いていた。でも正直まだ食い足りないので食べることにした。  パクリ  うむ、うまくはない。 「おれカードで遊んでくるからね。あ、ここで両替するんだよ。あとは好きにして。自由行動で7時ごろにはホテル帰ろうな。集合場所はホテルでいいだろ。さすがに迷わないだろうし、ここにずっと居るより色々見て回りたいだろうから。好きなとこ行ってこい」 「えっ。ちょっと待ってよ。おれ喉乾いたんだけどなんか飲み物飲めるとこ教えてよ」 「乾いたパンなんか食うからだ」 「いやだって食い足りなかったし」 「仕方ないな」と桐谷くんは言うとレストランのような所に案内してくれた。  そこの廊下を延々と歩く女性たちがいる。廊下は円形になっており綺麗な女性が胸をギリギリまで露わにしながら歩いている。 「彼女たちは…」 「もちろん娼婦だ。いい眺めだろ。ここから娼婦を見て飲み物を飲むのがいつもマカオでやることなんだよ。さながら回遊魚のようだろ。綺麗な女はずっと見てられるな」  たしかに綺麗だ。作品として。完成度の高い身体をしている。きれいな回遊魚。いや回遊女だ。  僕は食べ物も頼んで飲み食いしてた。すると飲み物を飲み終えた桐谷くんは。 「じゃ。おれカードやるから。好きに遊んでて。分かんないことあれば聞きに来てね。多分大丈夫だろ。キミ賢いし」 「ちょ、もう。まあいいや。じゃあまた後でな!」  桐谷くんは振り返らずに片手を軽く振る。  初めての海外で僕は1人になった。
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