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序-魔法使い達の集会-
──ここは『かぜのまち』にあるホテル。その一室には変わった帽子を被ったピエロとモノクルを付けた蜘蛛が寛いでいた。ピエロはベットにボフンと顔を突っ込みそれからゴロゴロと寝転がる。
「っはー、疲れたのサ」
「お疲れ様なのねマルク。奇術師も楽じゃないのねぇ」
「タランザもな。貴族様の執事だろ? 色々疲れね?」
「アハハ……」
ピエロ──マルクはケラケラと笑いながら蜘蛛──タランザに問う。マルクはあちこちの街に行っては手品を披露する(手品といってもタネも仕掛けもない魔法であるが)奇術師で、タランザは『ひかりのまち』に住む、とある貴族の執事だ。
魔法ギルドに所属しているという事もあり彼等は仲良くしている。余談であるがマホロアも魔法ギルドに所属しており彼等と仲が良い。
「タダイマ帰ったよぉ」
「おー、おかえり」
「どうだったのね?」
かれこれ駄弁っている最中ドアを開けて入って来たのは薬の行商人のマホロア。歯車の話題が広まっている今、カービィ達に売った例の目薬を売るにはもってこいのチャンスだと睨み、売りに行っていたのだ。
「どう? 薬さばけた?」
「捌けた捌けた。それくらい皆歯車ヲ探しテルって事ダヨネェ。熱意が凄イヨォ」
「かくいう私達も探そうと企んでるけどね」
「全部見つけたらアレだろ? 百万ポイントスター貰えるんだろ。まぁ、僕はお金なんて興味ないけど」
「その歯車が古代機械の一つ、【ローア】を動かせるかもしれない……だっけ」
「ソウナンダ。鉱山デ発掘された古代機械を動カスにはソノ歯車が必要ッテ言ってたシ。アレで見つカッタ古代機械を動かせるナラ、きっとローアも……」
──【ローア】。それは古代文明に造られたと言われる機械の一つで「神秘の船」とも「天翔ける船」とも言われている船だ。異世界へと征けるだとかココロを持っているだとか、様々な伝説があるが真意は分からない。
何故ならそれは壊れていて動かないのだ。動かす為には特別な部品が必要である。その部品の一つがきっと、今回の歯車なのだろう。今回鉱山で発掘された古代機械もローアと同時期に造られたという事は察する事が出来た。
「んで?」
「ン?」
「歯車。場所は知ってるんだろ?」
「ウン。カービィが持ッテいた【星のコンパス】を利用したカラね、歯車の在り処ヲ知っテルのは彼等くらいだし」
「で、でもソレって不利じゃないのね? 目薬も売っちゃったんでしょ? 私達より先に見つけ出す可能性もあるのね」
印がついた地図のコピーを床に広げ作戦会議を始める。
「確かにココ──原っぱにアル歯車は取ラレルね。けど言いクルメたら彼等は納得シテ歯車を渡してクレルかもしれない。だって僕がいなカッタら歯車ヲ見つける事ガ出来なカッタからね。二つ目は『時計台』。ソコは番人がイルからそう簡単に入れない、最後は『ひかりのまち』。この二ツは彼等ニハ無理だよ」
「『ひかりのまち』の何処にあるかまでは分からないのね? セクトニア様の屋敷の何処かなら探せるのね」
「オッホッホ、こういうのは案外賞金かけた奴の所に隠れてるのがオチなのサ。テッパンとお約束なのサ」
賞金をかけた人物の屋敷は『ひかりのまち』で一番大きな屋敷だ。屋敷そのものが広いのは当然だが庭も広く軽いスポーツが出来る程。成程これならあり得ない話ではなさそうだ。
「私は『ひかりのまち』で働いてるからいいけど、そっちはどうするのね? 『かぜのまち』の住人は許可なく立ち入る事は出来ない。商人である君達は『ひかりのまち』に入る時、厳しい手荷物検査受けたでしょ」
「まぁまぁ、それなら『ひかりのまち』の住人を利用スルしかないヨォ。潜入は……魔法で誤魔化シちゃえ」
「結局は強行突破ってヤツね。まぁ面白いからいいのサ」
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