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 その手伝いで、食器やコップ何かを運んで廊下を往復していると、外から志帆ー! と呼ぶ声がした。庭の方に顔を向けると、短髪で日焼け肌の男の子が険しい形相をしてやって来た。  彼は近所の幼なじみの啓太(けいた)だ。 「啓ちゃん、どないしたん?」 「どないしたんとちゃうわ! お前大丈夫なんか!?」 「何が?」  意味が分からずきょとんとする。 「何がて、神社向かう途中の道に、志帆のチャリ壊れた状態であったんやで?」  そう言う啓太の後ろ、おっちゃんが乗る軽トラックの荷台に、見慣れた自転車があった。でも無残に前輪はへこみ、カゴはひしゃげフレームは曲がり、乗れる状態ではないのは明らかだった。 「うちの愛車がー!」 「事故でも遭ったんかと思て、心配するやんか」 「何かごめん。でもうち無事やしピンピンしてんで」 「それならええんやけど。せやけど何であんなとこにチャリ捨ててあったん?」  自転車に乗った覚えも、もちろん事故に遭った覚えもない。  と、言うことは……。 「盗まれた!」  ふたりの意見が一致する。 「まぁこの時期、観光客いっぱい来るからな。災難やったな」 「最悪やわー」 「志帆」  話をしていると京介が間を割る。 「話してるとこ悪い。おばさん呼んでる」 「じゃ俺、そろそろ行くわ」 「うん。ありがとーなー」  啓太は京介に軽く頭を下げて行く。呼ばれていると言うことで、京介と共に母親の元に向かった。
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