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キャンプ
「おい、龍平」
僕がバーベキューグリルに炭を並べていると、トイレから戻って来た次郎が興奮を隠せない様子で駆け寄って来た。
「向こうのサイトに瀬戸がいたぞ」
「え、瀬戸って、まさか瀬戸彩月か?」
僕より先にそう声を上げたのは克哉だ。
「そうだよ。家族で来てるみたいだぜ」
高校二年の夏。僕たち三人は県北山中のキャンプ場に来ていた。中学校時代、同じバレーボール部で切磋琢磨した仲間で、僕だけが二人とは別の高校に進学したものの、三人の交流は変わらず続いていた。
言い出しっぺは克哉だ。キャンプより数日前、次郎の部屋に集まって、まったり三人好き勝手に漫画を読んでいた時のことだった。
「来年は受験勉強が大変だろうから、今年の夏は三人で何処か、泊まりがけで遊びに行かないか」
それならキャンプがいいと言ったのは次郎だ。
「キャンプ道具なんか持ってないぞ」
僕がそう言うと、克哉が教えてくれた。
「大丈夫。前に家族で行ったけど、道具はレンタルで何とかなったから」
そこから各々のスマホで検索した結果、克哉がこのキャンプ場を見つけたのだった。
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