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 槇野が笑う。 ニヤリという音が聞こえてきそうなほど、くっきりとした表情だった。 実に人が悪かった。  一転、悪人面になった槇野が告げる。 「でも、さっき言ったろ」 「⁉」 「コウタをすっかり、俺のものにしたいんだ・・・・・・」  後はもう、高崎が何を言おうと槇野は聞く耳を持とうとしなかった。 すかさずキスで追いかけては、文字通り高崎が『有無を言わせぬ』様に封じ込めた。  そうしながらも、小刻みに体を腰をじわじわとじっくりと動かす。 着実に、そして確実に高崎を『絶頂』へと追い詰めていった。 「はぁっ、あ、あっ、あぁっっ・・・・・・‼」  そうこうしている内に、高崎は達した。 あえて例えるのならば、「思いっきりコップを倒してしまい、勢いよく水をこぼしてしまった」というよりは、「コップの中に少しずつ溜められていった水が、とうとうあふれ出してしまった」様な感じだろうか。  コップの中には、高崎の体の内側にはまだまだ水が、快感が残っている。 快楽の放出、――射精には至っていなかった。 そんな高崎へと、槇野は淡々と延々と快感を注ぎ続けた。 特に変わったことをしたわけではない。  なるべく同じ一定の律動(リズム)を保ち、時折不規則(ランダム)に強く高崎を刺激した。
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