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 返事をする代わりに、高崎は槇野の体へと目一杯の力で抱きついた。 ぴったりと重なり合った互いの体と体との間へと、槇野が腕を割り込ませる。 今の今まで、ほとんど放っておいた高崎の欲望へと、やっと手を伸ばしてきた・・・・・・ 「やぁっっ、あぁんっ!」  手のひら全体を用いて自分の欲望の中心へと触れてくる槇野へと、高崎は無我夢中で応えた。 直接的な快感は分かりやすくて、もちろんうれしい。 焦れに焦れて待ち望んでいたので、喜んで飛びついた。  しかしそれと同じくらいに、――いや、それ以上に槇野に触れられること自体がうれしかった。  心の底から大好きな人に触られて、――しかも、イかされるなど、これ以上はないほど高崎にはうれしかった。  体の動きに併せて槇野の息遣いも又、次第に速く激しくなっていく。 額や首筋は自分が流した汗で、手のひらは高崎が漏らした先走りで濡れそぼってきた。 「やっ、あっ、あ、あぁ・・・・・・ああぁっっ‼」 「コウタっっ‼」  短く声を上げていた高崎がひときわ高く叫ぶのと、槇野が高崎の名を大きく呼ぶのとはほとんど同時だった。 二人の声が重なり合った後に、それぞれ二人の異なる荒い息が続く。
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