槍と槍の切っ先が当たったら結婚だなんてそんな奇跡が起こらない限り、わたくしのような槍を振るうしか能のない女は結婚できないのでしょうね。って暗に言われてる感じなのでしょうか?

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「聞くところによれば、おまえは日々の鍛錬により、かなり槍の腕前が上がり、師範の一歩手前までに上達しておるらしいではないか。そこのグリニアートから詳しく聞いておるぞ。そんなおまえの結婚相手となれば、おまえを超える槍の名手でなければならぬだろうと、そう考えたのだ。どうだ! 良い考えだろう!」 どどん! 父上おひとりが意気揚々とエスカレーションしていかれます。 「父上! そんな俗に言う、娘溺愛のお父さんあるあるは、どうぞおやめください! わたくしはまだまだ修行の身でございます。さらに言えば、槍の道をもっと極めていきたいのです。結婚なんてまだまだ先の話でございますっっ」 こうなったら徹底的に、この親バカをぐしゃあぁぁっと握り潰して、びりっびりに破り、地面にバシンと投げつけ、足でこうグリグリと……っと失礼。 とにもかくにも、この親バカぶりを改めていただこうと、私は父上に異を唱えました。 「父上、私は幼いころからこのかた、グリニアート先生に弟子入りし、槍道を万進してきました。そしてあと一歩で師範、あと一歩で師匠越えというところまできているのです。その道を結婚などのためにむざむざと捨てるわけには参りません」 あることないこと早口で喋りましたが、というのは建前で、本当は……。 そこでグリニアート先生が言葉を挟んできました。 「リリアン王女。師匠越えはともかく、貴女には私の槍の技術のほとんどを叩き込んできました。その成果は先日、『剣VS.槍どっちが強い? の選手権』において貴女が優勝し、槍は優れた武器であると、はっきりと結果が出たはずです。父王様の前で、見事剣の名手を打ち負かした貴女より、武道の手前が劣る婚約者など、到底受け入れられるはずがありません。こほん。この大会、私は賛成です」 え。 まさかの師匠からのダメ出し? いや? ダメ……押し? ややや。賛成だからダメじゃない。こんがらがるー。 「そうだそうだ! おまえより軟弱なものと結婚など、あり得んからな。グリニアートも賛成だっつうの。ワシがやると言ったら、とにかくやるんだ! 絶対に開催する! 開催だ! 開催だ! 開催だーー!!」 はあっ⁉︎ なんなん? この気合だ気合だ気合だーー!! 的な煽りは!!
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