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三人は日頃から一緒にシューティングゲームを楽しむ仲。
その中でも、突出して上手い道慈が全体の指揮を執る。
「エリア1箇所ずつ虱潰しに探していくのがいいだろうな」
彼に従う二人も頷く。
道慈のアビリティボタン押下に連動して、
不可視の電磁波が大気を震わせて伝わった。
モニター画面は、現在地エリアA西部にオレンジ色の点を一つ顕す。
「恐らくこれが空き缶だ」
道慈を先頭に、三人は標的を目指して走り出す。
表示箇所である塀の上にはやはり、
ラベルに『S』と記された空き缶が乗っていた。
「よし、撃つぞ」
銃口にコルクを装填し、そのまま難なく撃ち抜いてみせる道慈。
衝撃で窪んだ空き缶は甲高い音を立ててアスファルトへ落下した。
「思ったんだけど、これ、検知能力最強じゃね?」
「ホントそれ。ゲームでも現実でも必須クラスだね」
「たぶん今回、僕の出る幕ないわ」
三人は膝を叩いて笑い合う。
突如として戦場へ送り込まれた彼らが真実を知る由もない。
この間も刻一刻と、不気味な足音は密かに近づいていた。
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