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道慈が再びアビリティボタンを押すと、新たな点が現在地付近に表示された。
今回の点は絶えず動いていたが、三人は特に気に留めはしなかった。
「この調子で2本目もいこう!」
隣の通路に立ち至る手前で、意気込む足取りはぴたりと止まった。
その原因は意思ではない。本能がただならぬ殺気を感じ取ったのである。
無音の空間に確固たる足音がこだまする。
塀の陰に咄嗟に身を隠す三人。怖々と覗いた向こうには、
完全武装した男がゆっくりとこちらへ迫り来る様子が窺えた。
闇に紛れる漆黒のコートに身を包む男は、
ガスマスクを被り、さらには手袋の上からレーザー銃を抱えていた。
「検知レーダーに反応するのは、空き缶だけじゃないってか……」
悴んだ手足が矢庭に震え出す。一人残らず恐怖の具現化に戦慄した。
「敵がいるなんて聞いてない!」
蘭はパニックに陥り、條太郎も恐ろしさのあまり口を噤んでしまった。
平常心を失った二人を、道慈がリーダーらしく宥める。
「落ち着いて。とりあえず気付かれないようにこの場を離れよう」
言うことを聞かない身体に必死で鞭を打ちながら、一行はエリアBへと向かう。
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