プロローグ

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プロローグ

 ボォォォォ――――ッ!  汽笛の音がする。少年は畑仕事の手を止めて、顔を上げた。  青い空と緑の草原。その境目を、空色の機関車がまっすぐに突き抜けて走っていく。煙突は、七色の煙をもくもくと吐き出していた。  運転席から顔をのぞかせた運転手は、こちらに向かって手を振っていた。 「あっ、やっと気づいた! やっほー、仕事ははかどってるー?」  少女の弾ける笑顔を乗せた機関車は、あっというまに走り去っていく。少年が返事をしようとした頃には、機関車の後ろ姿が見えるばかりだ。 「きみ、あの子と知り合いなのか?」  いっしょに畑をたがやしていた中年の男は、額の汗をぬぐいながらたずねた。 「フランのこと? うん、友達だよ」 「あんな若いお嬢ちゃんが機関車を運転してるなんて、たまげたなぁ」  しげしげと機関車が走っていった方を眺める男に、少年は笑った。 「おじさんはここに引っ越してきたばっかりだもんね。ここら辺では有名人だよ」  三日月のマークを掲げた空色の機関車を乗りこなす、十三歳の少女機関士。その名を―― 「魔法機関士フラン、ってね!」
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