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「あ、まゆ。お前またサボりか?」
「またってなによ?あんたのほうがサボってるだろ」
5限目の歴史。私はいつも屋上に行く。
別に待ち合わせしてるわけじゃないけど。居心地がいいから行く。
隣のクラスの男子、尋も一緒にサボってることが多い。というか、屋上に行くとほぼ毎回いる。
私は気がついたらコイツに恋してた。
自分では気づかぬうちに恋に落ちたらしい。
だけど、今更気持ちを伝えることはできない。
「俺のおかげでサボれてることに感謝せよ」
「は?なんであんたのおかげなわけ?」
「俺が屋上掃除当番だから」
「え?そうなの?」
「そ。だから鍵持ってる」
「え!初めて知った」
屋上。普段は鍵、かかってるんだ。
それすらも知らなかった。
「あ、でも他にもいるでしょ?屋上掃除の人」
「リーダーの俺だけなの。鍵渡されてんのは」
うわ。コイツがいないと屋上でサボれないのか。私の居場所が……。
まぁ、コイツも含めて『居場所』なんだけどな……。
今更、こんなこと言えないよな。
「はい。どーぞ。お掃除お疲れ様です」
私は掃除終わりの時間にジュースを買って尋に私た。
「おぅ。サンキュー。やっと俺のありがたみがわかったか」
気持ち伝えたい。コイツに……。
「どうした?マヨ」
「私の名前はまゆ!よじゃない!ゆ」
「あー、はいはい」
あー。なんかムカついてきた。コイツごときにこんなに悩んでることに。
「好き。なんだよ。お前のこと」
「は、え。マヨ?」
「だから、まゆだって……ば……」
は?いきなり抱きつかれたら何も言えないじゃん。
「あのさー。それ俺から言いたかったんだよね」
ちょー。嬉しいんですけど。
「またサボるね。」
「いや、授業受けろよ」
「お前に言われたくない」
私のサボる頻度が増えそうです。
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