今宵、悲劇の終焉を祈る

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ボクはその時、辿々しくも如何にも弱り切ったかの様なか細い声で答えた。 「………もし、神様なんて存在が無かったのなら、僕達も今頃、存在すらしてはいない筈だし。それに、もし、神様が存在していないのなら、今から僕達が神様の代わりになれば良いんじゃないかしら?」 「………アナタって、…………その相変わらずの暑苦しい性格だけは、何時まで経っても変わってはいないのね?」 紫音は、ボソリと呟いた。………いや。そんな気がした。僕は、彼女に尋ねた。 「………それって、どう言う意味?」 「……………………別に。」 「……………………………………。」 その時、紫音は、不意に時間を気にし始めながら、そっと、ボクに話した。 「………私、そろそろ時間だから。無茶ばかりしないでよね。」 「…………………………………………。」 やがて、紫音の姿は、ボクの傍らから段々と遠ざかって行った。暁色に染まった夕陽が彼女の背中を照らしていた光景を、ボクは今でも忘れてはいない。 それ以来、その紫音と名乗る少女とは、音信不通のままなのだけれど………。
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