今宵、悲劇の終焉を祈る

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唐突に、紫音が、澄ました面持ちでボクに尋ねて来た。 「………そんな事が分かってる筈なのに、どうして、さっきは歩道橋から飛び降りようとしていたのかしら?」 思わず、怪訝そうに答えるボク。 「………人の世に疲れてしまったのかな?」 「……………………………………。」 その時、紫音は、妙諦に繋がるかの様な言霊を脳裏に滾らせようとしているかの様な強面の面構えで、その頃のボクの円らな瞳を見詰めてはいたものの、何を諦めてしまったのだろうか?………唐突に無表情となって、ポツリと一言、呟いて見せた。 「………それが、普通でしょ?」 ………………………………………!!! ………………そう。………そうなんだ。 ひょっとして、ひょっとしたら、紫音にとってはこれ迄の思い出の方が、ボクの抱いている憂鬱なんかより、殊更に辛く険しい十字架を背負わされていたのかも知れない。 ボクは、紫音に話した。 「………僕達、今日、初めて出会った筈なのに、何故だか初めての様な気がしないのは僕の思い違いなのかな?」 「………さぁ。………どうかしらね。」 「あっさりと返事するんだね。」 「………それが、普通なんじゃない?」 ( ………………フツウ、かぁ~~~。) 普通だなんて言われても、何が普通なのかが分からないんだけれどね。 物思いに耽っていたボクに、紫音が語り掛けて来た。 「………ねぇ。………この世の中に、神様って存在してると思う?」 「………………エッ!?」 (………どう答えるのが、正しい答え方なのだろうか?………それ以前に、どうして、彼女はボクにそんな野暮な質問をしようと思ったのかしら?)
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