0人が本棚に入れています
本棚に追加
「ナホ、おい!はよ降りろや!」
車から叩き降ろされる。あいつは咥えていたタバコを窓から捨てて、私を指さした。
「ええか、今日の客は金持ちやからな。愛想振りまいて金巻き上げてこい!ちゃんと仕事せぇよ」
返事を聞く前に車は急発進する。残された私は見知らぬマンションを見上げた。シンプルな作りの白いマンション、清潔感のある見た目が逆に気持ち悪くて吐き気がする。
階段を使って5階まで登り、メモにある部屋番号の呼び鈴を鳴らす。
2.3秒後、数センチほど空いたドアから手だけ出てくる。私のスカートを軽く摘んで男は低い声でぼそっと呟いた。
「……早く入って」
あいつのいう仕事とは、女子中学生が中年の男性に媚びること。不定期に知らない男性の自宅に連れて行かれて、私はお金をもらって男性に肩たたきをする。
肩たたきだけで終わったことは一度もない。
最初のコメントを投稿しよう!