星に願いを

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「ナホ、おい!はよ降りろや!」 車から叩き降ろされる。あいつは咥えていたタバコを窓から捨てて、私を指さした。 「ええか、今日の客は金持ちやからな。愛想振りまいて金巻き上げてこい!ちゃんと仕事せぇよ」 返事を聞く前に車は急発進する。残された私は見知らぬマンションを見上げた。シンプルな作りの白いマンション、清潔感のある見た目が逆に気持ち悪くて吐き気がする。 階段を使って5階まで登り、メモにある部屋番号の呼び鈴を鳴らす。 2.3秒後、数センチほど空いたドアから手だけ出てくる。私のスカートを軽く摘んで男は低い声でぼそっと呟いた。 「……早く入って」 あいつのいう仕事とは、女子中学生が中年の男性に媚びること。不定期に知らない男性の自宅に連れて行かれて、私はお金をもらって男性に肩たたきをする。 肩たたきだけで終わったことは一度もない。
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