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「なんでおねーちゃんはお星様にお祈りしてるの?」
深夜、もう日付も変わった頃にあっくんはぼそっと呟いた。
「なにかお願い事があるとお星様にお願いするものなのよ」
「そーなんだ。おねーちゃんは何をお願いしてるの?」
「……秘密。こういうのは人に言わないもんなの」
目をつぶって星に手を合わせる。どの星でもいいから私の願いを聞いて欲しい。
「おかーさんって、死んでお星様になったんだよね?」
「そうね」
「じゃあさ、おかーさんのお星様はおねーちゃんの願いを聞いてくれないのかな?」
「さぁね。もしかしたらもう他の人の願いを聞いちゃったのかもね」
「そうなんだ。じゃあ他のお星様は?」
「他のお星様も私のお願いを聞く前に誰かのお願いを聞いちゃったんじゃない?ていうかそんなのわかんないよ」
薄汚れた窓越しに眺める夜空はやっぱり薄汚れていた。
「もしかしたらもう、誰も私の願い事なんて聞いてくれないかもね」
「おねーちゃんはさ」
「うん?」
「そのお願いを叶えたい?」
「うん、死んでも叶えたい」
目を開ける。窓の外には天の川。眼下に広がる無数の光はただ一つとして私達を見ていない。
「まかせて、おねーちゃん。僕が見つけるから。おねーちゃんの願いを叶えてくれるお星様、僕が絶対見つけるから」
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