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「なんだったんだよ、あいつ」
則之は「ごめんな」と返してきた。
「あれってどう考えても、援交か愛人の斡旋だろ?」
則之は言葉に詰まった。
店を構えている以上、守秘義務もあるだろうし、上客は大切にしたいと思う気持ちもわかる。
その事が逆に腹立たしく思えてきた。
金を払えばなんでもいいのか?
世の中結局金なのか?
そんな疑問が湧いてくる。
ここまで話を聞いてしまったがゆえ、結果が気になってしょうがない。連続ドラマの続きが気になるのと同じだ。
「則之、来週俺もここ予約取れるか?」
則之はノートを見る。
「大丈夫だよ」
「じゃあ俺も来週、ここ予約取っといて貰っていいか」
則之はノートに書き込んだ。
なんとも気分がスッキリしない。
憂さ晴らしに来たはずなのに悶々としたものが残った。これ以上ここにいてもそれが晴れることはないだろう。
豊は会計を済ませた。
「また来週来るわ」
「おうっ、今日はありがとな、また来週」
則之の言葉に見送られ店舗を出た。
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