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「ふうー」
則之は大きくため息を吐いた。
やっぱり新しいバイトはいい仕事をしてくれる。
則之はノートを開いた。
この不景気の中、少しお高めの則之のお店も厳しい経営を強いられていた。
何か打開策を!と考えていたところ思いついた。
あの二人の演技は大したのもだ。特に女性の方の表情の作り方は、演技を勉強している身とは思えないほどだ。十分プロで通用すると毎回関心させられる。
男性の方はもう少し意地悪な感じがあってもいい。元々の優しさが出てしまっていた。
反省会の時にアドバイスしてみよう。
ノートを見返した。
きっと今残っている二組も、今日の続きが気になっているはずだ。終始二人の方に意識が向いていた。予約をしていくだろう。
二人の寸劇は思っていた以上に効果がある。
まだまだ少ないが、徐々に予約がうまってきた。
成果によっては、あの二人の待遇アップを考えなくてはいけない。
則之はノートを閉じ、カウンターに置かれたお札をポケットにねじ込んだ。
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