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「誰だあああああああああーーーー!!誰が僕の仲間をころしたんだあああああああああああああーーーーー!!」
裏切りのアオウミガメのノルンは、海岸に夥しくうち上げられたウミガメ仲間の死骸の前で大声で叫んで激昂した。
「誰だあああああああああーーーー!!誰が僕の仲間をころしたんだあああああああああああああーーーーー!!
僕はゆるさない!!ゆるさないんだああああああーーーー!!」
ばさっ!ばさっ!ばさっ!ばさっ!
「1匹生き残ってた・・・良かった・・・」
その時、1羽のセグロカモメが飛んできた。
「なんだ?!お前は?僕の死んだ仲間を啄みに来たのかよ?!」
「違うよ・・・誤解だよ・・・」
カモメのトフミはボソッと浮かない顔をして呟いた。
「君の仲間が何で死んでいったかを教えに来たんだ・・・」
カモメのトフミは、オドロオドロとした口調でアオウミガメのノルンに向かって話しかけた。
「君の・・・この仲間達は・・・漁師が漁業の妨げになるとか言って、網で根刮ぎ掬って全部この海岸に捨てていったのさ・・・!!この瀕死になったウミガメ達をな・・・!!
悉く・・・放置な・・・!!
そうやってわざと殺そうとしたんだろ。所詮人間だし・・・!!」
「おいカモメ!!何故止めなかったんだ!」
アオウミガメのノルンは上空から飛んできたカモメのトフミに食らい付こうと首を伸ばして威嚇した。
「何するんだよ?!おいら止めようとしたよ!!
でも相手は鋭い凶器を「しっしっ!」と振り回して・・・
近寄れなかった・・・
そう言うと言い訳だけになっちゃうよな・・・」
「ご、ごめんなさい。」
アオウミガメのノルンは、怯えて翼で顔隠して背けるカモメのトフミに謝った。
「ごめんよ・・・生き残ったアオウミガメよ・・・
ひとりでも達者に生き延びろよ・・・!!」
カモメのトフミはそう言い残すと、再び何処の空へ飛び立っていった。
アオウミガメのノルンは、カモメのトフミが遥か向こうの彼方へ消えていくまで空を見詰めていた。
アオウミガメのノルンの目から、再び大粒の涙が溢れ出てきた。
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