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「はっ?!」
一瞬、アオウミガメのノルンは向こうからやってくる人間の集団の気配を感じた。
海岸に打ち捨てられたアオウミガメの惨死骸の調査の為に、環境保護団体がやって来たのだ。
「あっ、まだ1匹生きていた。」
「もしかしたら、死んだこのウミガメの仲間かも知れないね。」
アオウミガメのノルンは、その人間が環境保護団体でも人間は人間だった。
アオウミガメのノルンは、人間の気配から逃げた。
「さようなら・・・僕の仲間達・・・
そして・・・裏切りの海岸・・・
もうゆるせない・・・人間なんか・・・!!」
と、言い残して波が押し寄せて来る海に向かって必死に逃げた。
ざっぱーーーん!!
ざっぱーーーん!!
ざっぱーーーん!!
ざっぱーーーん!!
人間の裏切りに殺されていったウミガメ仲間への鎮魂歌のように聞こえてくる波音の中へ、アオウミガメのノルンは潜っていった。
ざっぱーーーん!!
ざっぱーーーん!!
ざっぱーーーん!!
ざっぱーーーん!!
「もうゆるさない・・・もうゆるさない・・・人間なんか・・・もうゆるさない・・・
金輪際もう人間なんかゆるさない・・・」
孤独になった独りぼっちで泳いでいくアオウミガメのノルンの流す怒りの涙は、大海原の中に次々と溶け込んでいった。
~ウミガメ怒りの涙~
~fin~
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