Happiness

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 別にみんなが知らん顔貫いても、それはそれで全然いいわ。恨んだりもしない。  それより、彼女たちには平和に幸せに暮らしてほしいもん。嫌味なんかじゃなくて。  だってちゃんと、それ以上の『保険』も掛けてるから。  上のSNSにも全部載せてある。このアカウントの存在は誰にも言ってなかったの。友達にもね。  でも全世界に向けて公開してるし、『事件』が発覚したら絶対見つける人はいるわ。絶対、に!  もう私がいなくなったあとのことなんてどうでもいいから、個人情報も別に隠してない。近所の画像も載せてるわ。わざと。  単に本名や住所は書いてないってだけ。  そう、『本名』は、ね。ごく普通に「車椅子の姉のアヤに○○された」って、事実を全部そのまま書いてるの。 《姉のアヤを殺しました。こんな目に合うのは私で最後にしてください。さようなら。メグミ。》  最後の投稿はついさっき、綾の血に汚れたこの手で。それをリアルのアカウントで引用したのよ。  だから私と繋がってる友人には拡散されるってこと。きっと私が直接知らない人たちにまで届くはずよ。  特定班なんて大袈裟な人たちじゃなくても、きっと簡単に結びつけられる。両親(あいつら)と綾と。  それが一番楽しみだわ。  もうここでは暮らせないよねぇ。  生きてる限り、ずっと苦しめばいい。生きている、限り。  ──死んだからって許すわけないけどね。あいつらにそんな勇気あるのかしら。見物だわ。それをこの目で確かめられないのだけが残念かな。
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