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とりあえず一息ついた私は、掌の中の臓物を無雑作に足元の床に投げ捨てる。
びちゃり、と汚らしい音を立てた赤い物体を、すでに血に塗れた靴の底で踏み躙った。
「ふ、ふふ、ふ」
抑え切れずに身体の奥底から湧き上がって口から漏れる笑い。なんて楽しいんだろ。この家で笑ったことなんかあったっけ?
「ねえ、あいつらが帰って来て、あんたのこの惨めな姿見たらどんな顔するかな? どう思う? ──ああ、もう聞こえない、かぁ」
どうやら比喩ではなく、本物の単なる醜い肉塊になり果てたらしい憎い女。その半ば原形をとどめていない顔に、もう一度勢いよく足を下ろした。
──殺処分、完了。
なんだか自分でも意外なほど、急激に浄化されたみたいに心が澄み渡って行く気がする。
中まで汚れて不快にぬるつく靴をその場で脱ぎ捨てて、私は廊下に広がる血溜まりを避けずに踏みながら自分の部屋へ向かった。
用はすぐに済んで、改めて廊下に出ると玄関を目指す。
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