第一章〜失〜

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私の両親は、離婚した。 理由は聞かされていないけれども、まだ幼稚園に入ったばかりである私には、とても悲しいものだった。 小さいときから、親に邪魔者扱いされていた。 私は、本当は産む予定ではなかったらしい。つまり、私はただの手のかかるいらない赤子だ。 両親が離婚して、おばあちゃんが家に来てくれた。あのときのことはよく覚えている。 『鬼娘(きこ)ちゃん、明日から新しいお家だよぅ。』 『やだ、きこ、このお家が良いのっ。』 『でもねぇ…』 そういって駄々をこねて、おばあちゃんを困らせた。 少し大きくなって、今は十一歳。小学5年生だ。「あのときはごめんなさい」その一言なのに、怖くて言えない。 …どうしたら、言えるのかな?
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