イケメン少女

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イケメン少女

私は呼び出された場所へと着く。 そこには私を呼び出した相手がいた。 そう。 何度も何度も呼び出しては私をイライラさせる、くそみたいな先輩が。 わかっていたことだけどその顔を見るとため息が出てくる。 私が気に入らないのはいいけど、本当にいい加減にしてほしい。 すでにイライラしてきていた私。 っと。 だめだめ。 こんなやつに私の素を知られたら何を言われるか。 深呼吸をして気持ちを落ち着かせて。 いつも通りのかわいい私になって。 「せんぱーい!どうしたんですかー?また私のこと呼ぶなんてー!あー!もしかしてせんぱい私のファンとかですかー!?」 作り笑顔で、くそ先輩の元へ近づく。 そんな私にチッっと舌打ちをする先輩。 正直私が舌打ちしたいくらいだけど我慢我慢。 とりあえず今は「えーん。せんぱいこわいですよー。」と泣き真似をする。 すると「あんたねぇ!」と声を荒げる先輩。 そんな時だった。 「た、鷹見さん…?」と私を呼ぶ声がして。 そちらを向いて、ゲッっと心の中で反応する。 声の主は私にとって厄介二号である新城圭で。 私なんか悪いことした?ねぇ神様!?と心の中で恨み言を言いながらも「あー!圭ちゃんだー!どうしたのー?」と今まで呼んだことない名前を呼びつつ近づく。 そして、先輩に聞こえないように小声で新城圭に「あんたなにしにきたの。」と尋ねる。 すると新城圭も小声で「た、鷹見さんがなんだか怖い顔をして出ていったから…。そ、それで心配で…。」と言った。 嘘でしょ…。 誰にもバレないようにしてたのに。 なんでいつもこいつに私の素を見られるのよ!と驚きながらも今はそれどころではなくて。 こいつはこいつで厄介だけど、転校早々私のせいでこのくそ先輩に目をつけられるのもかわいそうだから。 だから「私は大丈夫だから教室戻ってなさい。」と新城圭に伝える。 「で、でも…。」と諦めない新城圭。 すると痺れを切らした先輩が「ちょっと!あんた…」と新城圭に言いかけたところに「あははー!そっかー!わかったー!それじゃあまたあとでねー!」と無理矢理、新城圭を追い返すとくそ先輩に向き直る。 「それでせんぱーい!今日はどうしたんですかー?」とまた同じ事を言ってヘイトを私だけに向けさせる。 単純馬鹿なくそ先輩は見事に私の思惑通り「あんた!いつもあたし言ってるわよね!」と怒りを私だけに向ける。 そんなくそ先輩に「えー?なんのことですかー?」と返すと「そのぶりっ子がイラつくのよ!」とさらに怒っている。 うんうん。 いつも通りのことばっか。 正直毎回聞かされてイライラする。 でも我慢我慢。 「ちょっとかわいいからって!なんの努力もしないでも、かわいいって言ってもらえるからって調子に乗ってるところもムカつくのよ!」と言い放つくそ先輩。 は? 何の努力もしない? 毎日時間をかけてかわいい私を作ってるのに何の努力もしない? たしかに元から私はかわいいけど、それ以上にかわいく見てもらいたいと頑張ってるんだけど? と、ちょっと我慢の限界が近い私。 尚もくそ先輩の嫌味やら文句が続いて。 遂に限界を迎えた私は反撃に出る。 「ねー?せんぱーい!もしかしてそれってひがみですかー?私がかわいいことに対するひがみなんですかー?ちょっとそれってダサくないですかー?まぁ私がかわいいからひがむのもわかりますけどー!」と素の私がバレない程度に言い。 くそ先輩が私の反撃に怯んだ隙にさらに追い討ちをかける。 「せんぱいかわいそー!よかったら少しでもかわいくなれる秘訣でも教えてあげましょうかー?あーでもでもー!ちょっと難しいかもー!」とそこまで言うとなんだか少しスッキリした私。 だけど、どうやら言いすぎていたみたいで。 気づいた時には怒った先輩が手を振り上げていた。 私は叩かれる恐怖からギュッと目を閉じる。 だけど、いつまで経っても何も起こらなくて。 私がソッと目を開けるとそこにはくそ先輩の腕を掴む新城圭の姿があった。 …え?な、なんで?あんたは教室に戻ったはずじゃ…。 そう戸惑っていると、新城圭は真剣な顔をして「先輩。暴力はだめですよ。」とくそ先輩に言った。 その姿はいつも教室で見ていたおどおどした新城圭とは違い。 なんだかかっこよく見えて。 不覚にもドキッとしてしまった私。 一方、新城圭に変わらず腕を掴まれ困ったくそ先輩は「は、放しなさいよ!」と振り解くと「お、覚えてなさいよ!」とまるで悪役の退場セリフみたいなことを言って走り去っていくのだった。 っと、あんなのは放っておいて。 今はこのかっこいい新城圭から目が離せなくて。 そんな私に「大丈夫?怪我はなかった?」と見つめながら心配する新城圭。 私は思わず顔を逸らし、ドキドキしながらも「う、うん。大丈夫。」となんとか返事する。 その返事に安心する新城圭。 顔を見れない私の視線は新城圭の手のあたりへ。 よく見てみると手から少し血が出ていることに気づき。 「あ、あんた血が出てるじゃないの!」と驚くと、新城圭は「あー。さっき先輩が振り解いた時に…。」と苦笑いしている。 怪我への心配で少しドキドキが治まった私は「笑い事じゃないわよ!」と怒りつつ、なにかないかと探すとスカートのポケットの中の物を思い出し取り出す。 それは以前、新城圭から貰ったヒーロー物の絆創膏で。 それをすぐに貼り付ける。 「あ…。これ…。」と新城圭も気づいたようで。 「鷹見さんにあげた物なのに…。」と申し訳なさそうな顔をしている新城圭に「今はあんたのほうが必要でしょ!」と言った。 「ありがとう。鷹見さん。」と微笑む新城圭。 不覚にもまたドキッとしてしまった私は「べ、別にいいわよ!」と照れながら言った。 だけど、なんで新城圭なんかにドキッとしなきゃいけないのよ!と考え、照れ隠しで「っていうか、あんた教室に戻ったんじゃなかったの!」と怒ったふりをしながら質問する。 すると「だ、だって…。し、心配で…。か、陰で見てたら…。た、鷹見さんが叩かれそうになったから…。」とおどおどしている新城圭。 「もー!それであんたが怪我してたら意味ないでしょうが!あんたバカなんじゃない!」と怒ると、落ち込んでる様子の新城圭。 でも、正直助けてくれたのは本当に嬉しかったから。 だから「まぁでも。助けてくれてありがと。」と伝える。 すると「う、うん…!」と嬉しそうにする新城圭。 さっきまでのかっこいい姿はどこへいってしまったのやら。とドキドキも完全に治まり。 その後、素を出しすぎてることに気づいた私はいつものかわいい私に戻ると、新城圭と一緒に教室へと戻ることにした。
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