3人が本棚に入れています
本棚に追加
3
城に到着して早々デジャブの如く馬鹿親子のお別れの儀お涙頂戴劇を長々と見せられ精神は限界を迎えていたので従者並びに側近を睨みつけるとその視線に気がついた者が宰相に耳元で囁いてからわざとらしい咳をする。
「コホンッ……陛下そろそろ出発されませんと。」
「あぁ、王女よそれでは達者でな。」
「……はい。お父様もお元気で……グスン」
ハァーそのセリフ3回目だけど。
カーテシーで待たされている私達はかれこれ30分この茶番劇に付き合わされている。もう足限界!腕限界。なんの拷問だろうか。こちらの身にもなってほしい。そう思っているところに従者が近づいてきた。
「では、お先にご令嬢方から馬車の方へお乗りください。」
従者の後に続き広間から出て行くと扉を閉める音を聞いたと同時にこれで本当に嫁ぐのだと絶望した。
王城から出ると眼の前には2台の馬車とそれを守るようにして騎士たちが役50人体制で待機していた。
王女の馬車とは違い豪華ではあるが見劣りする馬車が私達が乗る馬車なのだろう。
「………」
従者がお乗りくださいと馬車の扉を開け、目線を伏せ同意の合図をし次々に馬車に乗り込むとハァーと深いため息を3人同時にし驚いた顔をしたことによりフフッと苦笑いをしてそういえばまだ自己紹介をしていなかったですねと横に座った方が言う。
「私はライラクス侯爵が娘ベアトリス・ライラクスです。まぁ、あちらに行けばベアトリス・デセールになりますが………。」
ため息交じりに自己紹介をするベアトリス様のご実家は確かどの派閥にも属していない中立だったはず。デビュータントをしていない私はお会いしたことはないけれどお父様から何度かライラクス侯爵家について聞いたことがあった。長女の令嬢は名前はわからいけれど侯爵家を継ぐ為に伯爵家の次男と一昨年結婚されて去年跡継ぎが産まれたらしいと言ってお父様が我が家も早く跡継ぎを作らねばなとまだ結婚すらしていないお姉様に鼻息荒く話していたのを思い出した。次女の令嬢も確か去年結婚されたはず、何処に嫁いだかはあまり興味がなくて思い出せないけれど。
最初のコメントを投稿しよう!