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私達を乗せた馬車がリタリスへと近づいていく中で私はお二人とかなり仲良くなれた。 ベティはふくよかな体型が理由で16歳になるまで婚約者が出来ずにいたらしい。イスタリアでは大体が5歳から10歳の間に婚約者ができる。だから16歳で婚約すら出来ないならば結婚など出来ないだろうと諦め、貴族の女性ならしない料理を屋敷では日頃からしていたらしい。そのおかげで更にだらし無い体型になってしまったと苦笑いしていた。近々屋敷の近くにある教会の敷地で孤児や食事に困っている方々や旅行者向けにボランティアレストランを開く予定だったらしい。 シアは8歳の時に子爵家の次男と婚約したけれど18歳になりそろそろ結婚って所で相手がある日突然男爵令嬢と駆け落ちをしてしまい示談金を貰い婚約解消となったらしい。容姿がいいからとすぐにまた婚約の申込が来るだろうと思っていたが何故か解消してから一切無くて不思議に思っていた所にたまたま参加した夜会で見に覚えの無い自分の噂話を聞いてしまい、そんなくだらない噂を信じる心の狭い男達を相手にする位なら結婚などするかと父に直談判して自分の好きな裁縫を活かしてドレスのデザインの勉強をするために国で一番の仕立て屋のマダムに弟子入りをしてやっと王都に自分の店を出せると喜んでいた所にこの王命を受けた。 二人とも夢に向かって進もうとしていた所にいきなり王命で結婚しなくてはならなくなったのだから怒るのは当たり前だと思った。自分が如何にくだらない理由で怒っていたのかと反省することになった。 自分にとって不本意な結婚だけど嫁ぎ先では自分に与えられた仕事を全うしよう。それしか今の子供の身では存在意義がないのだから大人になればもっと色々な事ができるかもしれない。
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