3人が本棚に入れています
本棚に追加
6
リタリスに入国するとすぐに国王との謁見となったが私達は姫のおまけで嫁いできただけだからなのか挨拶を早々に済まされすぐに各嫁ぎ先からの迎えの馬車へと乗せられてしまった。
別れ際にベティとシア二人には手紙のやり取りをしようと約束して別れた。
************
城から馬車に揺られて数刻経つ。かなり王都から離れた場所に邸を構えているらしい。まさか嫁いですぐに領地まで行かされるわけがあるまいと思っていたけれどそれも怪しくなってきた。居ても立っても居られずに窓を開け護衛騎士に話しかける。
「もし、後どのくらいで着くのかしら?」
騎士「もうそろそろお屋敷に到着いたします。」
「………そう、わかりました。」
良かった。領地ではないようだ、もし領地だったら大国のリタリスだ、王都からこれだけ離れている場所がタウンハウスとして使ってるのなら領地まではもっと時間を有するだろうから姫の話し相手として嫁いだ意味が無くなるし嫌だ。(姫と話す仕事がしたい訳じゃなく友人と会えなくなるのが辛い)
騎士の言った通り屋敷につくと玄関ホールまで騎士がエスコートしてくれる。普通は夫となる男性が妻を馬車まで迎えに来るのでは?と疑問に思ったが流石に明け方祖国を出たからと言ってもリタリスについて謁見してから此処まで来るのに後少しで日を跨ぐ時間だからだろうと思うことにした。
玄関ホールには数人の侍女と一人の高齢な執事が一人出迎えの為控えていた。
執事「遠路遥々ようこそお越しくださいました、私はスティンデル侯爵家の執事長を務めるサイラスと申します。」
「私は、エレノア・ルーザー……いえ、スティンデルよ。お気遣い感謝するわ。貴方達もこんなに遅くまで待たせてしまい申し訳ないわね。」
サイラス「滅相もございません。エレノア様も大変お疲れとお見受けします、旦那様方とのご挨拶は明日にと申しつかっておりますので今日はゆっくりお休みくださいませ。エドナここに………。」
なるほど、もう就寝したという事ね。まぁ時間も時間だし今日は本当に疲れたからありがたく言う通りにしよう。
エドナ「エレノア様のお世話を任せられました、エドナと申します。」
「そう……。よろしくね?」
サイラス「何かありましたらこのエドナに言ってください。では私はこれで失礼します。」
早々にサイラスは玄関ホールを去る。あまり歓迎されていないらしい。エドナと名乗る侍女は、私にと準備された部屋に案内した。
エドナ「こちらがエレノア様のお部屋でございます。」
中に入ると薄桃色を基調とした可愛らしい部屋だった。実家の自分の部屋と比べるととても落ち着かないが仕方がないと諦める。後からきた侍女数人が荷物を運んできた。
「ありがとう、荷物は明日解きますから端に置いてくれるかしら?」
エドナ「わかりました。明日荷解きの際には私がお手伝いいたしますので申し付けて下さいませ。では、湯の用意をいたしますね、お食事はいかがなさいますか?」
「分かったわ、食事は軽食にしてくれると助かるわ」
エドナ「わかりました。では準備致しますのでそれまでお待ちくださいませ。」
エドナは近くにいた侍女に食事の用意をするよう指示を出すと侍女達は部屋を去る。エドナも部屋の奥に消えた。多分そこにバスルームがあるのだろう。
私も疲れがどっと出てきて長椅子に腰をかけ休む。
最初のコメントを投稿しよう!