NEWグッド・ジョブ媚薬6部 復活編

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「まったく、事件がある度にいつもこんな話しをしている」 文明は抑えることの出来ない亮の動きにため息をついた。 「さて、私は岡村幹事長のお嬢さんを案内しなくちゃいけないので 先に休ませていただきます」 絵里子は亮に直接連絡をする事無く絢香と部屋を出て コンドミニアムへ向かった。。 「亮の奴、絵里子さんを勝手に家族にして 絵里子さん迷惑じゃなかったのかな」 ロビンは部屋を出た絵里子を思って呟いた。 「いや、絵里子さんは逆に嬉しかったんじゃないか」 「そうですね」 ロビンは亮と家族になりたかった。 「ロビン、お陰で事件が片付きましたありがとう」 亮からロビンに電話があった。 「いや・・・」 ロビンは突然亮から電話があって驚いた。 「ロビンが居なかったら大変な事になっていた、これからもよろしく」 「ああ、もちろんだ。いつでも来い」 電話を切ったロビンの目から涙がこぼれていた。 「どうしたロビン」 ロビンの顔を見た文明がロビンに聞いた。 「いや、なんでもない」 「分かっているさ。今夜は祝い酒だ」 文明はブランデーをグラスに注いだ。 「ありがとう、文明」 「ロビン、本気で亮の姉さんの美佐江を嫁さんにしたらどうだ?  もっと亮との絆が深まるぞ」 文明はロビンの肩を叩いて笑っていた。 「それより、文明。絵里子の娘の絢香がたった 数時間しか一緒にいただけなのに、 英語で話をしていた。彼女天才かもしれない」 「私もそんな気がする」 ~~~~~ 翌朝、絵里子と美喜と祐希は8時にトランプホテルのロビーに着いた。 「美喜ちゃん、あなたが『くノ一』なんて知らなかったわ」 ロビンが繋いでいた監視カメラで亮と美喜の やり取りを見ていた絵里子が美喜に言った。 「うふふ、あの時自分の勇気を降り立たせる為に言っただけです。 でも甲賀忍者四方堂家の末裔なのは本当なんです」 「それで亮が投げたナイフを受け止められたのね」 「ええ、子供の頃から父に仕込まれていましたから」 「でも、美喜ちゃんのお父さんアメリカ人よね」 「はい、忍法好きの父が若いころ日本に 武道の修行に来て母恋に落ちたんです」 「まあ、スティーブン・セガールみたいね」 ※沈黙のシリーズで有名なアメリカの俳優 スティーブン・セガールは日本に武道の修行に 来て合気道道場娘と結婚し間に生まれた 娘は女優(藤谷文子)としてガメラなどに出演し 活躍している。 「うふふ、かなり回りに反対されたみたいですけど」 「じゃあ、幸田という苗字は?」 「父の姓のCODAの日本語読みです。 父の祖先は音楽家だったみたい」 美喜はCODAが最終楽章の意味である事を かけて冗談を言った。 「忍者って水に潜ったり、お城の石垣に 登ったり凄いんでしょう」 絵里子は自分の想像していた忍者の話しをすると 美喜は微笑んで答えた。 「甲賀忍者は五十三家がそれぞれ得意技があったの私の家系は 忍者のための傷薬や腹痛の薬、栄養剤を作っていたみたい」 美喜は祖父や母親に聞いた自分の家の話しをした。 「薬!じゃあ亮と満更無関係じゃないわね。 亮の先祖は御典医で薬を作って  いたから」 「ええ、私もそれを聞いて驚きました」 美喜は亮との何かの繋がりがあると信じていた。 絵里子が頷くとロビーに居た真壁は絵里子に気づき手招きをした。 「今、幹事長は家族で朝食を取っている。紹介しよう」 真壁は二人をレストランの奥の席に連れて行った。 豪腕と言われている民政党岡村幹事長とその娘が 向かい合って食事をしていた。真壁は絵里子達三人を岡村に紹介した。 「幹事長、今日お嬢さんのガイドをしてくれる、黒崎祐希さんと幸田美喜さんです。黒崎さんは現役のバーバード大学学生さんです」 「よろしくお願いします」 祐希と美喜がニコニコと笑うとテレビでは いつもしかめっ面の岡村の顔が崩れた。 「娘の真紀子です」 岡村が紹介すると真紀子は不機嫌そうな顔で祐希と美喜に無言で頭を下げた。 「あっ、モデルの幸田美喜?」 「はい、今は休業中ですけど」 真紀子は美喜を目の前に名前を呼び付けをしそれに美喜が答えた。 「ねえ、何処へ連れて行ってくれるの?」 真紀子はまるでつまらないところへ連れて行ったら承知しないと言いたげだった。 「そうね、ショッピングは夕方からで良いから。泳ぐ?」 「やだ、水着になりたくない」 真紀子は決してスタイルが悪いわけではなかったが 色気たっぷりの美喜とスレンダーで背の高い祐希と 人前で水着になりたくなかった。 「では、プレジャーボートをチャーターして シュノーケリング、イルカと遊べます」 祐希はケアカのプレジャーボートが昨日の事件で今日空いているのを 知っていてそれをアテンドしようと思った。 「ああ、それが良いわ」 真紀子はプレジャーボートの上で水着になって 日焼けする自分を想像して賛成した。 「ダメだ、ダメだ。もし船が転覆してサメに喰われたらどうするんだ?」 岡村は親ばかを発揮していた。 「嫌よ、行きたい」 真紀子がダダをこねると祐希が微笑んで岡村に言った。 「では、もう一人泳ぎの上手な日本人男性を 同行させます、それでいかがですか?」 「本当に泳ぎが上手いのか?」 岡村は絵里子の話を疑っていた。 「はい、オリンピックに出られるくらい」 美喜が岡村に答えると祐希が美喜の耳元で囁いた。 「美喜さん、それってまさか亮の事?」 「そうよ」 美喜は簡単に答えた。 「だって亮は2ヶ月前に泳げるようになったばかりよ」 「いいのよ、亮は横須賀で沈むプレジャーボートから 脱出した実績があるんだから  それにプレジャーボートがそんなに簡単に転覆しないわよ」 「そうか・・・」 美喜はスマートフォンを手にとって席を立ち電話を掛けた。 「亮、今どこ?」 「今、病院で朝食を食べているところです」 「直ぐ、ロイヤルトランプホテルに来て」 「ど、どうしたんですか?」 亮はまたテロが起きたかと慌てて聞いた。 「岡村民政党幹事長のお嬢さんとクルージングに行くのよ」 「そう言っても先生の外出許可を取らないと」 「何言っているの、昨日あんなに暴れていたくせに、早く来て」 「分かりました」 亮は食事を途中でやめて病院を飛び出した。 「先生、今こちらに向かっていますので彼に会って確認してください」 「ああ、分かった」 岡村がそう返事をして時計を確認した。 「じゃあ、私部屋に戻って出かける仕度をするわ」 真紀子はキーを持って部屋に戻って行った。 「絵里子さんゴルフは?」 岡村が絵里子に聞いた。 「はい、100を切る程度ですけど一応」 「こんな事ならあなたに一緒にラウンドしてもらいたかったなあ、一緒に回るはずだった妻が急用でまだハワイに来ていないんだ」 急遽妻が来れなくなった岡村は絵里子に関心を寄せていた。 「は、はい」 「お待たせしました」 仕度をして来た真紀子に亮が挨拶をした。 「同行させていただきます。だ、團亮です」 真紀子はイケメンの亮の顔を一目見て胸を高鳴らせた。
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