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「じゃあ、ネコちゃんはこっちに来て準備だよー」
花梨がそう声掛けすると俺のもとから離れ猫は歩いていき花梨に抱き抱えられる。すると花梨が指をパチンッと鳴らして試着室のようなものを出した。つか、どっからだしたんだ、そんなもの。
「かずっちは覗いたらダメだからねー?」
そう言うだけ言うと猫を抱えたまま花梨は試着室へと入って行き何やら魔法でも使ったのような音がして数分後……
「じゃじゃーん、どう、かずっち? 可愛いでしょ」
花梨がそう言うと後ろから出てきたのは赤髪でミディアムヘアっぽい髪型にチェックの肩開きブラウスにフリルの付いたミニスカートを履いた女の子だった。
「…………誰?」
「んもーその感想はないよーかずっち、エアコンの冷房より冷たいよーさっきの猫ちゃんに決まってるでしょー」
「マジ?! や、わかんねぇよ、普通」
そう、耳や尻尾など無く何処にでもいる可愛い女の子にしか和也の目には見えなかった。
「……あんまジロジロ見ないでくれる? セクハラ男」
「……俺はいつ君にセクハラしたんだ……」
「さっき思いっきり触ったじゃん!」
女の子は顔を真っ赤に染め強めな口調で和也に言い放った。
「あ、猫の時に撫でたからか。あれはセクハラにカウントされるのか」
「二人とも仲良くなったみたいだし、そろそろ――」
「良いのか……?」
「良くないしっ」
「じゃ、そろそろ行くよ〜」
「て、聞け……うぉわぁああ」
「……きゃぁああ」
花梨が指をパチンッと鳴らして何処からともなく異空間の渦のようなものが現れ、和也や猫から人間になった女の子は二人悲鳴を上げながら吸い込まれて行った。
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