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<幕間>
ふかふかした踏み心地の良いカーペットと、立ち並ぶ本棚。ここは……〈夢見図書館〉だ! わたしたち、帰ってきた!
足元には『桃太郎』の絵本が転がっている。開いているのは最後のページで、桃太郎たちが車にたくさんの宝物を積んでおじいさんおばあさんの家へ戻ってきたところ。良かった。無事『桃太郎』の世界は元に戻ったみたいだ。
「あなたたち! 無事だったのね!」
天女みたいな恰好をした春姫さんが心配そうな表情で迎えてくれた。無事だったのねってあなたが急にやらせておいて、いまさら何を……。
「伝えるのを忘れていたの! 打ち出の小づちは一つのお話の世界で一度しか使えないから、大事に使って!」
「一度しかって……」
「おい、見ろ! あそこにいた!」
詳しい話が聞きたかったのに、迷人が指差す方向には、”本の虫”! やっぱりあいつも図書館に戻ってきていたんだ!
ところがすぐさま”本の虫”は、そばにあった別の本へと飛び込んでしまう。
「今度はこっちか!」
迷人が手に取った本の表紙には……『金太郎』の文字。
「大変、今度は『金太郎』がめちゃくちゃにされちゃう!」
「急ごう!」
ええぇ、もう一回『金太郎』の世界に行く気?
「お願い、ゆずはちゃん。”本の虫”を捕まえないと!」
春姫さんにも懇願され、考える暇もなく打ち出の小づちを取り出したわたしは――
ポン!
と再びおとぎ話の世界へと飛び込んでいったのだった。
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