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令嬢たちは、うっと息を呑む。
それは、そうだよね。ハーディス公爵家には、逆らえないはずだ。
六年生のなかでは、ルイス王子を除けば一番地位が高いのだから。
心のなかでは、こいつ……って思っているのがありありと伝わってくるけれど、令嬢たちは言葉を呑み込んだようだった。
そして、顔を見合わせて、なにかひそひそやりとりをした後――作り笑顔で、みんないっせいにこちらを向く。
「お見苦しいところを見せてしまい、申し訳ありませんでした、エミリアさま。でも、この庶民がいけないのです」
「平民のくせに魔法学院に入ってきただけでは満足せず、学科の試験でもズルをしていい成績を取ろうとする始末」
「いったいどのような手を使っているのか……不思議ではないですか? エミリアさま」
「庶民の使う手ですから、きっと驚くようなものに違いありませんわ!」
令嬢たちはみんなでくすくす笑う。
ライティは、静かにうつむいていた……。
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