3.悪役令嬢は全力で役に立ちません!

4/33
前へ
/193ページ
次へ
 ……私は知っている。  ライティ・ジーンはそんな人間ではないことを。  ズルなんて、ライティには必要ない。  彼女は天才だから。  実技はもちろん、学科のコツだってすぐにつかめてしまう。  正直なところ……。  令嬢たちの気持ちも、ちょっとわかってしまった。  彼女たちは、くすくす笑っているけれど、心の底からゆかいなわけではない。  なぜ、こんな人間が自分たちの前にあらわれてしまったのか……。  くやしく、納得できず、自分がみじめで、なげく気持ち――『光の少女は愛される』のエミリアにも、その気持ちは、あったから。  そして何より……前世の私自身が、そんな気持ちをいだいたことがあったから……。  前世の部活の、ひと学年上だった先輩。  部活で間違いなくトップだった彼女は、ライティとおんなじで、ぴかぴか輝いているように見えた。  その先輩と私は、漫画好きという点が共通していて、とても仲よくなるのだけど。  それまでは、何度もやっとしたものか……。
/193ページ

最初のコメントを投稿しよう!

255人が本棚に入れています
本棚に追加