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……私は知っている。
ライティ・ジーンはそんな人間ではないことを。
ズルなんて、ライティには必要ない。
彼女は天才だから。
実技はもちろん、学科のコツだってすぐにつかめてしまう。
正直なところ……。
令嬢たちの気持ちも、ちょっとわかってしまった。
彼女たちは、くすくす笑っているけれど、心の底からゆかいなわけではない。
なぜ、こんな人間が自分たちの前にあらわれてしまったのか……。
くやしく、納得できず、自分がみじめで、なげく気持ち――『光の少女は愛される』のエミリアにも、その気持ちは、あったから。
そして何より……前世の私自身が、そんな気持ちをいだいたことがあったから……。
前世の部活の、ひと学年上だった先輩。
部活で間違いなくトップだった彼女は、ライティとおんなじで、ぴかぴか輝いているように見えた。
その先輩と私は、漫画好きという点が共通していて、とても仲よくなるのだけど。
それまでは、何度もやっとしたものか……。
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