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客足が途絶えたのをみて、レジから離れた。
自動ドアが開いて、夏夜の空気が店内に流れ込む。
冷えた身体を包み込む生暖かい風が心地良い。
新しくきた商品を棚に並べながら、バンドメンバーの事を思い浮かべる。ライブハウスで会う仲間も、店長もいる。一人じゃない。湊は心からそう思えた。
切り替えるのに必死になっていて、客がレジ前にいる事に気付くのが遅れた。
「お待たせしました」
言いながら、急いでレジへと向かう。
「いらっしゃいませ」と頭を下げて顔を上げる。常連の女性客だった。
牛乳500ml紙パック、ミルクパン、ドゥーブルフロマージュ。
湊は違和感を抱くと同時に、「あれ?」と声に出してしまっていた。
「どうかしましたか?」
不安気にこちらをのぞき込む素朴な面持ちに一瞬、目を奪われた。あわてて取り繕う。
「あっすみません。今日はあれ買ってないんですね」
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