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しばらくして
イーディスだけが部屋に戻り、お茶を飲む皇帝に声をかけた。
「皇帝陛下、当主の御気分がすぐれないので、本日はこれで失礼いたします」
窓からは、グランビアの当主が馬車に乗り込もうとしているのが見えた。
すぐそばには、大きな黒い犬が控えている。
「ああ、お大事にと伝えてくれ」
皇帝は、馬車に乗り込んだ犬の姿に気が付いた。
「あの犬は・・・?」
「皇帝陛下、犬ではございません。
オオカミです。当主の護衛ですので」
イーディスは一礼をして、部屋から出て行った。
外に出るとイーディスは、見送りに来ていた側近に言った。
「リーディアン殿は、結婚式の用事で急いでお帰りになると・・
伝言されたのでお伝えいたします」
それだけ言うと、馬車の扉を閉めた。
ヒュゥーーーーー
つむじ風が突然ふいて、土ぼこりを巻き上げる。
森の木々が強い風でうなり始め、馬車は走り出した。
その後、
グスタフ皇国ではリィーデアン・レジアが失踪したという噂が流れた。
が、誰も真相はわからなかった。
おわり
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