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目覚め
「リード、具合はどう?」
クリスがそっと、ベッドのカーテンから顔を覗かせた。
「ああ・・」
リードは薄目を開けた。
頭が重く、体がだるい。
「打ち身がひどかったみたいだけど・・起きることができる?」
クリスが心配そうに、手を差し伸べた。
「心配かけてすまない・・何とか」
リードが痛む体を、かばいながら起きた。
その時
ベッドの足元から、小さな小瓶が床に落ちた。
「なに?これ・・」
そう言いながら、クリスが小瓶を拾い上げた。
「ふふ、<魔女の媚薬>か。姉上が持っているぜ。これ」
リードが小瓶を見て、首をかしげた。
「魔女の媚薬って?なんだ?」
クリスが指で小瓶をつまみあげるようにして、リードに説明した。
「女の子がつける香水だよ。デートの時の必需品らしい」
「なんで、こんなところにあるのだろう?」
リードが聞くと
「この部屋を使った女の人が、忘れたんじゃないの?
そのまま、置いとけば取りに来るかも」
そう言いながら、クリスが小瓶をリードに手渡した。
「あの竜巻は本当にすごかったね。
まぁ、被害がなくてよかった。君には災難だったけど」
そう、何か大切な事・・
リードはぼんやりと考えていた。
「荷物はもうまとめてあるから。
着替えたら、すぐに出発できるよう、馬車を下にまわしてある。」
クリスがそう言い残して、部屋から出た。
リードは、自分の手の平にある香水の小瓶に目をやった。
<必要な・・もの・・>
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