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あの狩猟の館か・・・
なぜか胸がうずくように痛む。
明後日の婚礼の儀・・
相手は家柄も申し分ない。
美しく、教養もある、優しい貴族の娘だ。
皆が祝福をしてくれる。
だが、何か、どこかで喜べない自分がいる。
何か違うと・・感じている。
魔女の媚薬の香水は、一時の満足を与えてはくれたが・・
時間がたつと、むなしい。
その日は良く晴れていた。
内密なので、皇帝も商人の姿であり、
側近はリードを含め3人ほどが、極秘会談の準備に臨んだ。
狩猟の館に、魔女の国の代表が小さな馬車でやってきた。
リードは急いで玄関まで行き、出迎えの準備をした。
馬車からは、若い男が最初に降りて来た。
髪が赤紫で金の瞳、美しく優雅な男だ。
「私、イーディスと申します。
魔女の国の使者でございます。
本日はグランビアの当主が来ております。
ご案内もしてよろしいでしょうか?」
どこかで・・聞いたことがある声だ・・
リードは何かひっかかりを感じた。
その<何か>はわからない。
「私が第1側近のリーディアン・レジアです。
それではこちらに・・ご案内をいたします」
リードが答えた。
イーディスは馬車の扉を開け、手を差し伸べた。
降りて来たのは、深く黒いベールをかぶった女性。
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