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応接間に案内され、皇帝とグランビアの当主が向き合い着席し、
それぞれに側近が後ろに立った。
イーディスが説明を始めた。
「こちらの薬草治療のレシピを提供する代わりに、
グスタフ皇国の薬草の種をいただきたいとのご提案です。
詳しい資料は、こちらの文書を見ていただけるよう準備いたしました。」
皇帝がリーディアンを見て、視線で合図をした。
すぐにリーディアンが答えた。
「本日は即答できかねるので、時間をいただき、
その文書の内容を、検討をさせていただきたいのですが・・」
皇帝は同意するようにうなずいた。
イーディスはそれを予想していたかのように言った。
「もちろんです。期限は決めさせていただきますが・・」
その時・・
グランビアの当主の指先が少し動いた。
イーディスはそれに気が付くと
「申し訳ありません。当主の御気分がすぐれないようで・・
すこし休憩をいただきたいのですが」
「ああ、もちろんだとも・・
リーディアン、客間に案内をして差し上げるように」
皇帝があわてて答えた。
「それでは、少しの間、失礼いたします」
イーディスはグランビアの当主の手を取り、席を立った。
グランビアの当主が、部屋から退出するのを見届けると、
皇帝は側近に声をかけた。
「お茶の準備をしてくれ」
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