狩猟の館

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狩猟の館

なだらかな丘の先に、山並みが続く。 山を越えると、そこは魔女の国の領地になる。 平原にはところどころ小石が積み上げられて、何かの祭祀(さいし)の痕跡のようだ。 荒れ野。 遠くには古城・・廃墟になっている。 魔女の国の山並みから、風が吹きよせる。 この場所は1年を通して風が強い。 羊が放牧され、ところどころ途切れるが、低い石垣が続いている。 その中の一本道を、2頭の馬が走り抜けていく。 先に進むのがリーディアン・レジア。 貴族の嫡男だ。 それを追いかけるのがクリスティ・フェンネル。 同じく貴族で、二人は友人である。 まるで、死者がさまようような場所だな・・ リーディアン・レジアはふと思った。 昼間ならまだいいが・・夜は恐ろしい・・ とても静かな場所だ。 後ろについていたクリスティ・フェンネルが、疲れたような声を出した。 「少し休憩しようよ。馬も疲れているだろう」 リードは馬を止めて、振り向いた。
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