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いつの世も闇は怪物の巣窟だ。現代の都市も例外ではない。深夜、ビルの陰、高架の下。サラリーマンの男性が震える脚で走っていた。彼に迫るのは、蠍の尾持つ三又の大蛇。男性はスピードを上げようとするも、万年デスクワークの身体が悲鳴を上げる。両者の距離は徐々に縮まり、大蛇が男性に食らいつこうとした。その時だ。ヒュッ、と一閃、一筋の光。まともにそれを食らった大蛇は激しくのたうち回る。
「よく効くだろ? これがイマドキのシスターのトレンドってワケ」
聖水を充填した水鉄砲を手に、隻眼のシスターは不敵に笑った。
「あの、こっちにも水かかってるんですけど……」
汗と聖水で湿っぽくなった男性の呟きは、闇に吸い込まれていった。
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