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な?普通だろ?
出来れば⋯⋯そうだな。
子供は多ければ多い程いいだろう。
何?そんなに甲斐性があるのか、だって?
そんなもの、愛さえあればどうにでもなる、とオレは思っている。愛は偉大だ。
「あぁー、早く見つからないかな。オレの運命の人」
こんなノンビリとした口調だが、実はオレは非常に焦っていた。
だから、今日もこうして街中で嫁探しに励んでいる訳なんだが⋯⋯
何故か上手くいかない。
いや、本当は理由なんてとっくに分かっているんだ。
女は皆、イケメンやイケメンボイスが好きなんだ、って⋯⋯。
でも、オレは信じているんだ。
オレのピュアな内面を、ちゃーんと見てくれる素敵な女の子が現れるって。
夏の太陽がいくら照りつけようと、叩きつけるような雨が降ろうと、オレにはそんなものは関係ない。
朝も昼も夜も、せっせとオレは女の子にアピールを続けた。
その結果ーー
努力がついに実を結ぶ日が来た。
「あのぅ、私と結婚してくれませんか?」
オレは心の中でガッツポーズをした。
めちゃくちゃ可愛くて優しそうな女の子だったからだ。
この子となら、きっと幸せな家庭が作れるだろうと、オレは確信した。
ほら、
だから言っただろ?
いつか、オレを分かってくれるヤツが現れるって。
オレは迷わずその子と結婚をした。
そして、
結婚してからあっという間に7日が過ぎた頃ーー
体に異変を感じ始めた。
残念だけど、そろそろオレの人生は終わりを告げるようだ。
でも、この7日間は長い長いオレの人生の中で、
最高の7日間だった。
オレは婚活にも成功して素敵な嫁も出来、可愛い子供だって出来た。
「もう⋯⋯俺の人生に⋯⋯悔いは、な、い⋯⋯」
あぁ⋯⋯
ついに上手く体が動かなくなってきた。
ひっくり返ってしまった俺は、もう手も足も動かせそうにない。
本当に⋯⋯本当にいい人生だったな⋯⋯
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