感染する悪意

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「ここ、どうだ?」 数日後。 昼休みに山村に声を掛けられた。 見せられたスマートフォンには小さな寺の写真が表示されている。 「近いしさ、ネットで調べたら結構有名らしいんだよ」 住所を見ると確かに近い。 会社から二駅先くらいだ。 メールで予約ができるらしい。 ……ここでいいか。 自分のスマートフォンから同じサイトを調べて、メールフォームに必要事項を打ち込んで送信する。 仕事が休みの土曜日も選べたのが有難い。 ちなみにファブリーズは何の効果も無かった。 少し男臭い部屋が良い香りになったくらいだ。 まぁ、期待はしてなかったけれども。 「山村、ありがとう、今度は俺が昼飯奢るよ」 「いいっていいって、それよりさ、お祓い行く時にオレも行っていいか?どんなことするのか興味あって」 「勿論、何されるか不安だから来てくれよ」 たとえ興味本位だとしても、誰かが一緒だというのは心強い。 その日の終業時間の少し前に寺から返信が来ていた。 来週の土曜日に視てくれるらしい。 山村に伝えるとその日は予定が無くて良かったと悦んでいた。 許さない…許さない…許さない…。 この声ともあと少しでおさらばだ。
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