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「先に言っておきます、これは私には祓えないかもしれません」
山村と二人で並んで座っていたのに、住職は入ってくるなり真っ直ぐ俺の方に来て、深々と頭を下げた。
「どういう事ですか?」
「私では力不足ということです、申し訳ない。出来る限りのことは致しますが、先ずお話を聞かせて頂けますか」
力不足...。
そんなにヤバいのか?
俺は住職にこれまでのことを全て話した。
話を聞き終えると透明な石で出来た数珠を渡され、正座をさせられて、長い長いお経を聴かされながら、経本のようなもので背中や肩を叩かれた。
テレビで見る除霊みたいなことをするのかと思ったけど、意外と地味なんだな。
許さない...許さない...許さない...許さない...。
その間もずっと声は聴こえている。
一時間くらいそうしていただろうか。
お経が止んで、住職が大きく息をついた。
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