感染する悪意

3/21
前へ
/21ページ
次へ
しかし、朝から嫌なもん見ちゃったな。 あんな風に急に飛び込んじゃうもんなんだ。 何かぶつぶつ言ってたけど病んでたのか。 確か...許して…とか何とか。 そう言えば、最期に『わかりました』って言ってたな。 なんだったんだろう、あれは。 「月曜の朝から災難だったなぁ、おい」 昼休み、同僚の山村に背中を叩かれる。 「マジで。隣にいる奴が飛び込むなんて思ってもなかったよ、事情聴取?みたいなのまでされたし」 朝から何人にも聞かれて正直うんざりしていた。 「まぁまぁ、そういうこともたまにはあるだろ」 「たまにも無くていいよ...」 俺がそう言うと山村は確かにな、と笑った。 ...るさない。 不意に聴こえた声に思わず山村を見る。 「山村、何か言ったか?」 「いや?何も言ってないけど」 山村が怪訝な顔で俺を見る。 おかしいな。 今朝もあったよな、こんなこと。 あんなもん見たから参ってるのかもしれないな。 今日は残業せずに早く帰ろう。
/21ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加