感染する悪意

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やっと家に辿り着いて、ネクタイを弛めて、スーツの上着を投げ捨てる。 そのまま風呂場に行き、ボタンを押して湯を出した。 何時もはシャワーで済ませるのだが、今日は湯船に浸かりたい気分だった。 湯が溜まるまで、少し身体を休めようとソファーに横になる。 「あー……」 ソファーに身体が沈み込んでいくような感覚がして、思わず声が出る。 このまま眠ってしまわないように気をつけないと、ソファーで眠ると翌朝、身体がバキバキになるからな。 テレビをつけて何を見るとも無しに眺めていると湯を張り終わったというアラームが鳴った。 脱ぎ散らかしたスーツを拾い、ハンガーに掛けて風呂場に向かう。 「はぁ…」 少し熱めの湯に浸かり、大きく息を吐く。 気持ちいい。 たまにはちゃんと風呂に入るのもいいもんだな。 まだ始まったばかりの一週間は長いものになりそうだ。 「明日からは頑張ろう」 誰に聴こえるでもないが、小さく呟いて風呂を出る。 着替えて、髪を乾かして、歯を磨きながら、上裸の身体をチェックして、 「ジムでも通おうかな」 なんて独り呟いて。 ここまでは何時も通りだ。 後は寝るだけ。
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