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「ヤバい!遅刻する!」
次の朝、耳栓をしていたせいでアラームを聞き逃して、ギリギリの時間に目が覚めた。
昨日の事をなるべく思い出したくなくて、一つ先の駅から電車に乗ろうと思ったのに、これでは走っても間に合わないだろう。
慌てて支度をして家を出る。
駅は昨日のことなど無かったかのように何時も通りだった。
昨日と同じ番号は避けて、何人かが並んでいる場所に並んだ。
...許さない。
まただ。
また聴こえる。
やっぱり空耳なんかじゃない。
あのおっさんが『許して』と言っていたのは関係しているのだろうか。
許さないって言われてもなぁ…。
何の心当たりもないし。
すし詰めの電車に揺られながら考えても何も思い浮かばない。
誰かに相談してみようか、いや、頭がおかしくなったと思われるのがオチだろう。
許さない…。
電車の音に紛れて、時々聞こえてくる。
明日からは音楽でも聴きながら電車に乗ることにしよう。
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