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それから一週間が経ったが、状況は何も変わらなかった。
それどころか、声が聴こえる頻度は日に日に上がっていくばかりだ。
「宮部、最近顔色悪くないか?大丈夫か?」
山村が心配そうな顔で俺の顔を覗き込む。
「あぁ…最近あまり眠れなくてな」
「なんだよ、女に振られたのか?」
「いや、そういうんじゃないんだけど…」
「よし、今夜呑みに行こうぜ、どうせ帰っても眠れねぇんだろ?」
言い澱む俺の様子に何かを察したのか、山村は俺の背中をぽんと叩くと返事も待たずにデスクに戻って行った。
呑みたい気分ではないが、独りでいても気が滅入るだけだ。
山村の誘いに乗るとしよう。
許さない…。
ほら、今も聴こえる。
本当に気が滅入る。
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