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1-2.お前にとっての貴族は、そういうのだろ。
リヒトの生まれ育ったここ、パルカノーラ王国は東西南北及び中央の5つの区によって分かれている。
東区は海を跨いだ先にある大国、ノマルサリア帝国及び周囲の国々と交易を行い、また南区は他国に向かう為の船や旅行に来た者たちを招き入れるリゾート地を開拓している。
中央区では王族や貴族といった金持ちが住み、教育や研究所などの国をあげての未来への投資機関が多く存在している。
西区は広大な土地を利用して農業や酪農などを営み、リヒトは9歳までこの西区で育った。
ここまで聞けばかなり平和な国であり、誰もが安心安全に暮らせる国ではある。
しかしながら、全く戦争がないわけではない。
他の区とは山で遮られていることでより情報乏しく、同じ国のことなのにどこか遠くの国のように思えてしまうからこそ、パルカノーラの国民の大半は平和ボケしていたのかもしれない。
なら北区に住んでいるパルカノーラもそうなのか、と問われれば北区に住んでいても平和ボケしている者は多くいる。
国境を守るクロエのいる一族及び臣下たちが、相手国よりも圧倒的に強く危険が及ばないからだった。
だからこそ、目の前で起こったことに脳が追い付かなかった。
食堂の窓を介してでも分かる。大きな岩に潰された人間の手が見える。
食堂にいた人間達の叫び声で頭が可笑しくなりそうになりながら、落ちてきた岩から目が離せず、ただ突っ立っていた。
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