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俺とそらの出会いは、彼女の就活がきっかけだった。
既に俺は大手デベロッパーに勤めてて、大型都市開発チームのメンバーになっていた。
そこへ同窓の彼女が、インターンとしてやってきた。
会社は毎年、インターンシップを実施していた。指導係は、比較的余裕のある部署がする事になっていた。
その年は何故か俺が在籍する多忙な部署に、彼女が配置された。訳は回ってきた資料で合点がいった。
彼女の父親は、三ツ橋啓三だった。
あの時の開発コンセプトは『自足』。
敷地内での再生エネ発電は勿論、雨水や結露を濾過して飲料水を除く、上水まで供給しようというものだった。それを実現する為、社内で三人の設計デザイナーの名が挙がっていた。
一人目は、今や誰もが知ってる建築家の桑野雄大。
国立系の建造物はもとより昔作ったローカル施設も、SNSで映えスポットになっている。
もう一人は、三ツ橋敬三。
彼は持続可能建築の先駆けだった。当時から今に至るまで彼のファンは玄人が多い。手がけた作品が少ないのは、彼が家庭を持ったのを機に、活動の場を教壇にシフトしたせいだ。
三人の中で一番若いのが、神崎進。
三ツ橋の最初の弟子。師の作風をより進化させ、海外を拠点に活躍している。国内での知名度が低いのが難点だった。
桑野に頼めば確実なのは明白、しかし余りに売れっ子だ。
彼が引き受けてる中で優先的にうちを取り扱ってもらう為には、プラスアルファのペイをしなければならない。
それに比べ、三ツ橋なら予算内に収まるだろう。彼が第一線に戻ってきたとなれば話題に事欠かない反面、ブランクがあるのも事実なので、報酬交渉はやり易いと踏んでいた。
そういった会社サイドの思惑の中、偶然にせよ三ツ橋の娘がインターンに来る!とチーム内は色めきたっていた。
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