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勃起していた。
そらの裸を見たせいか?!
優しく触り、そっと握る。
ただそれだけの僅かな圧でも、より強張る。
セルフプレジャーすらご無沙汰なのに、これがナカだったら…想像すると収まりがつかなくなりそうなので、浴槽に湯を張る。
最後にしたセックスは、いつだったか…
縁に腰掛け蒸気にあたりながら、ぼんやりと考える。
さっき自室でヘアバンドを探した時、引き出しの中でコンドームの箱を見た。以前買い置き、しまっておいた物だ。
この家で、
アレを、
彼女に、
使った事は無い。
知り合ってからずっと、俺は紳士的な彼氏を演じていた。
彼女が俺をそう見るからそう振る舞ったのか、それが楽だったからそうしたのか、今更どうでもいい。
当時お互い忙しく、デートやSNSでのやり取りも頻繁ではなかった。
だから予定が合う日があれば、食事やプレゼントを奮発した。建物好きの彼女の為に、車を借りて遠出をしたこともあった。
セックスは専ら、送りがてらの彼女の部屋かディナーをしたホテル。
玄関先での手荒く急いた行為も、
夜景を眺めつつ背後から奪う体位も、
卑猥な言葉を浴びせながら劣情を高める情事も、
彼女とした覚えがない。
処女だったそらとは、いつも眠くなる位丁寧な前戯から始まった。
不満がなかったと言えば、嘘になる。
しかし『頼りになる素敵な先輩』という幻想を壊してまで、エグいのしようとは思わなかった。
強いていうなら、彼女の部屋でするセックス。
『ここの壁、薄いから』と声を抑えながらも、あられもなく濡れる彼女。
口を押さえる彼女の手を外して、イロイロ意地悪するのが唯一愉しみだった。
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